社長ブログ

譲れない時こそまずは「お詫び」を【がんばれ建設】NO 1446【交渉術】

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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
作者;ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2019年12月6日

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今日の一言
「お詫びかたがた」
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メールを用いて仕事をすることが増えてきました。
しかし表現が不十分なために、ついメールで相手を怒らせてしまうこと
もあることでしょう。

お客様からのメールに、不快感が受け取れる言葉が書かれていたり、
心外な指摘があったりすると、あわてて釈明したり反論したりしそうに
なります。
しかし、拙速な対応は禁物です。

まずすべきことは、返信を書くことではなく、相手のメールを読み返す
ことです。
明確な指摘があった場合は、どんなやりとりの中で、自分がどのように
書いたのかを確かめてください。

私は、これまで批判に対して、すぐに反論メールを書いてしまった
ことが多々あります。
するとまたそれに対して返信があり、またまた返信する・・・
という悪循環です。

たとえ相手の指摘に対して「そんなことを言った覚えはないよ」と思って
も、自分を過信しないこと。
無意識のうちに表現がまぎらわしくなっていたかもしれません。

相手の不快感の理由がわかって、それを払拭してもらいたいと思う場合
は、まず「お詫び」して反省を明確にしたほうがよいでしょう。

例を挙げて考えてみましょう。

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あなたが設計事務所の建築士とのやりとりの中で、

「先生の設計より、この新しい技術を使った方がよいのではないで
しょうか」

などと建築最新技術にふれたところ、

「そんなことはない。君の勘違いだ」

と訂正されたとします。

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返信でどう書けばよいでしょう。

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× 第一人者の先生に向かって生意気なことを書いて不愉快にさせて
しまい、申し訳ありませんでした。
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これでは「先生のプライドを傷つけて不愉快にさせた」と
言っているも同然です。
真実かもしれませんが失礼です。
先生にしてみれば、専門的な指摘をしたつもりが、自分のプライドの
問題にされて、ますます不愉快になるでしょう。

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◎ よくわからずに不正確なことを書いてしまい、たいへん失礼を
致しました。
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「不愉快」という感情の問題でなく「不正確」という事実の問題として
書く方がよいでしょう。

相手に対して「神経質すぎる」とか「大人気ない」という感想を持って
いても、それは表に出さず、自分の側が不十分だったという書き方を
するのが、メール技術的には正解です。

また別の事例です。

あなたは外注している専門工事会社に支払う工事費を提示しましたが、
相手から強い不快感の表明がありました。
どうしてもその建設会社に工事をしてもらいたいと考えたあなたは、
次のようなメールを送りました。

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○○です

早速のご返信ありがとうございました。
私の理解が不十分で、たいへん失礼なお願いになってしまい
申し訳ありませんでした

教えていただき、助かりました
私が提示した額は非常識なもので、ご指摘は当然と反省しております

しかしながら、今案件ではこれ以上の予算を確保することが難しく
どうしたものかと困り果てております
一度お詫びかたがたご相談したいと思っています
お時間をいただけないでしょうか
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文中の、「お詫びかたがた」とは、「お詫びを兼ねて」という意味です。
「かたがた」は「お礼かたがた」「ご挨拶かたがた」などとつかわれ、
便利な表現です。

さて、この文例では、相手が提示された工事費を受け入れられない理由
を説明していることに対して、全面的にその内容の正しさを認め、
最初に詫びています。

なんとか相手に気を取り直してもらい、「しかしながら」と書いて
改めてお願いするというスタンスです。
まず、相手側の言い分に理解を示すというプロセスは非常に重要です。

たとえば、こんな言い回しも参考になると思います。

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ご指摘のとおりです。

こちらの認識不足でご不快な思いをさせてしまい、心よりお詫び
申し上げます。
見積依頼書を作り直しますので、再度ご検討いただくことは可能でしょうか。

生半可な知識でわかったようなことを書いてしまい、お恥ずかしい限り
です。
ご指摘の点について、少しお時間をいただき検討したいと思います。
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このように相手を立てることにしたとしても、どうしても相手に
了解してほしいことがある場合には、

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ご指摘に従い、計画を変更したいと思いますが、一点だけご検討いた
だきたい点がございます。
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などのように書く方法もあります。
まずは相手の言い分に従うという姿勢を示すことで、こちらの意見を
聞いてもらいやすくなるでしょう。

中川路亜紀『あなたのメールは、なぜ相手を怒らせるのか?』
(光文社新書)を一部参考にしました。

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【編集後記】
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先日北海道の方が「寒い、寒い」というので「北海道の人は寒さに
慣れているのではないですか」と話しました。すると
「北海道の建物は寒さに対して完全防御しているので、室内は
かえって暖かいのです」とのこと。
そういえば暖かい地域の人は、寒さに対して無防備かもしれませんね。