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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2025年10月3日
NO2447
◆「絶対評価」と「相対評価」とではどちらが建設技術者の成長を加速させるのか
最近、評価制度を見直す企業が増えています。
特に建設業界でも
「若手をどう評価すれば成長につながるのか」
「評価に納得感を持たせるにはどうするべきか」
といった声を耳にするようになりました。
そんな中で注目されているのが、
「相対評価」という視点です。
今回は、「絶対評価」と「相対評価」の違いを
整理しながら、なぜ建設技術者の育成に
相対評価が有効なのかを考えてみたいと思います。
◆絶対評価では成長の“天井”が見えやすい
学校教育などでよく用いられる
「絶対評価」とは、あらかじめ決められた基準を
満たしていれば評価されるというものです。
例えば
「施工計画書を期限内に提出できたらS評価」
など、到達度に基づいて評価する方法です。
この方法は、一見フェアに見えます。
全員が同じ基準で評価されるからです。
しかし、問題はここから。
現場で求められるのは、
**「標準を守ること」だけではなく
「より良く、より速く」**です。
全員が合格ラインに達したところで、
それ以上を目指す動機が生まれにくくなります。
◆「相対評価」が仕事の質を押し上げる
これに対して、「相対評価」とは
他者との比較によって評価する仕組みです。
少しわかりやすく、
スポーツにたとえてみましょう。
水泳の日本代表は、派遣標準記録(絶対評価)を
クリアした選手の中から、最も速いタイムを
出した人が選ばれます(相対評価)。
つまり、まず基準をクリアし、
その中でより優れた人を選ぶのです。
この「あと一歩上を目指そう」という適度な
競争意識こそが、選手のレベルを押し上げ、
競技全体の質を高めているのです。
建設現場でも同じことが言えます。
「この書類は十分よくできているが、
○○さんの資料はさらに読み手に配慮されていて
視覚的にも見やすい」
「あなたの工程計画は無難だったが、
△△さんの案は現場の作業性まで考慮されていた」
このような比較の視点が、
技術者の“もう一歩”を引き出すのです。
◆評価は競争ではなく「成長のきっかけ」
もちろん、相対評価が行きすぎると
「勝ち負け」「足の引っ張り合い」に
なりがちです。
しかし、私たちが提唱する相対評価は、
あくまで
**“仕事の質”という軸での比較**です。
「同じ条件でも、あの人はこんな工夫をしている」
「自分も次はこうしてみよう」
こうした気づきが、
若手技術者の成長スピードを加速させるのです。
特に、現場での創意工夫や、
書類のわかりやすさ、
安全管理の丁寧さなどは、
数値だけでは測れない部分です。
だからこそ、
「比較」と「フィードバック」を組み合わせた
成長促進型の評価制度が重要なのです。
◆まとめ:評価とは「比べること」で価値を高める仕組み
評価の本質は「比較」です。
建設業における
技術力、段取り力、資料作成力、安全管理力――
これらは日々進化しており、
「前より良くなったか」「他と比べてどうか」
の視点がなければ、現状維持のままです。
「到達点」だけではなく、
「比較から学ぶ」仕組みを持ち込むことで、
現場全体のレベルが一段引き上がります。
「あの人より上手くなりたい」ではなく、
「あの工夫を自分も取り入れよう」。
そう思える環境づくりこそが、
組織全体の成長を促す鍵です。
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【編集後記】
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人事評価システムがなく、
社長が鉛筆をなめながら評価している
建設会社が多いです。
しかし、私の肌感覚ですが、
簡単なものであっても、人事評価システムがある
会社の方が社員満足度が高いです。
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社長ブログ