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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2025年9月3日
NO2435
◆なぜ今、建設技術者にも「社会批評」の視点が求められているのか
皆さんは「フェアフォン」という
スマートフォンをご存じでしょうか?
オランダで誕生したこのスタートアップ企業は、
アップルやサムスンのような
巨大メーカーと比べて
資金力も技術力もブランド力も
はるかに劣っています。
しかし彼らは、
独自の思想と価値観によって、
競争の激しいスマートフォン市場で
確かな存在感を示すまでに成長しました。
彼らが訴えたのは、
ユーザーの便益向上ではなく、
「資源と環境への配慮」
「修理のしやすさ」
「供給元の倫理性」など、
従来の企業が後回しにしてきた
“社会的な正しさ”です。
これまでの常識とはまったく異なる視点で
市場に「新たな問題」を提起し、
それに取り組むことで共感を生んだのです。
この事例は、
建設業界に身を置く私たちにも
重要な問いを投げかけています。
◆建設業界の「当たり前」は、本当に当たり前か?
私たち建設業界は、長年にわたり
「工期」「原価」「品質」「安全」を柱として
技術を磨いてきました。
それはもちろん、プロフェッショナルとして
重要な価値であり、揺るがないものです。
しかし、いま社会全体が
「パラダイムの転換期」に差し掛かっています。
・CO?排出量の削減
・建設副産物の再利用
・技能実習生など外国人労働者の労働環境
・ジェンダーギャップの是正
・地域社会との共生
こうしたテーマに対して、
「それは建設業の役割じゃない」と
言い切る時代ではなくなりました。
むしろ、これらの社会課題に
“建設の技術”でどう応えるか?を
考え、発信し、行動する企業こそが、
これからの時代に選ばれる存在となるでしょう。
◆「新たな問題を発見する」のではなく、「新たな問題を創造する」
山口周氏は著書の中で、
次のように述べています。
「フェアフォンやテスラ、Googleが成功したのは
社会にまだ存在していない『新たな問題』を
企業側から創造したからだ」
これは非常に示唆に富む考え方です。
たとえば、
ある地域では災害リスクが高まっています。
しかし、地域住民の多くは
それに気づいていないか、関心が薄い。
そこに対して、
「災害に強いインフラ」の提案を行うことは、
社会に新たな問題意識を喚起する行為になります。
また、ある現場で働く外国人技能実習生が、
制度の限界の中で苦しんでいるとします。
その現状を是正し、より公正な労働環境を
整える取り組みを始めることも、
「社会批評としての企業活動」です。
◆現場技術者も「哲学者」や「アーティスト」のように考える時代
いま求められているのは、
「ただ図面通りに施工する技術者」
ではありません。
これからの
現場代理人、設計者、施工管理者には、
「社会の不正義や不均衡を見抜く目」と
「それを現場で形にする創造力」が必要です。
・環境に配慮した施工法
・誰もが安全に働ける現場設計
・周囲住民との共生に向けたコミュニケーション
これらはすべて、単なる業務の一環ではなく、
「パラダイムの転換」の一部なのです。
◆最後に
フェアフォンが「顧客のニーズ」ではなく、
「社会の問題」に焦点を当てて成功したように、
建設業もまた、社会と真摯に向き合い、
未来を見据えて価値を再定義していくことが必要です。
私たちの技術や経験は、
まだ気づかれていない社会の問題を
解決する力を持っています。
だからこそ、
「これは建設業の仕事ではない」と
考えるのではなく、
「建設の技術で何ができるか」を
問い続けたいものです。
パラダイムの転換は、もう始まっています。
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【編集後記】
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今週末は最後の経営計画会議です。
建設業のお役立ちとなるような計画を
全員討議で立案します。
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社長ブログ