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三浦カズに学ぶ「叱る」ことの難しさと、技術者育成へのヒント【がんばれ建設2473】

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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2025年12月10日
NO2473


◆三浦カズに学ぶ「叱る」ことの難しさと、技術者育成へのヒント

先日、日本経済新聞に掲載された
三浦知良選手(カズ)のエッセイを読み、
大いに考えさせられました。
テーマは「叱る」ということ。

私は現在64歳でシニアサッカーをしていますが、
58歳と私と同世代の三浦選手が
20代の選手とともにプレーしている姿に
心から尊敬しています。

三浦選手が若手時代に受けた荒っぽい指導。
関西弁での一喝。
「一生懸命なのはおっさんばっかりや」など、
今の時代ならハラスメントと取られかねない
言葉もありましたが、彼にとっては
成長の糧となった経験でもあります。

一方で、近年の若手は
同じ言葉でもまったく違う受け取り方をします。
監督の「ゲキ」も
「なんで一人でキレてるんですかね」
と軽く受け流してしまう。
この“受け止め方の違い”は、
建設現場でもまさに日常の悩みではないでしょうか。

■「叱る」は昔より難しくなっている

昔は「叱る=教育」という側面がありました。
現場でも、親方や所長が厳しく叱ることで
技術を伝承してきた側面があります。

しかし、今は叱り方一つで
若手が離職してしまう時代。
しかも“正しい叱り方”には
マニュアルも正解もありません。
同じ教育をしても、受け取る側によって
結果がまったく異なるからです。

これは子育ても同じ。
兄と弟で同じように育てたつもりが、
まったく違う性格に育った、という話を
聞いたことはありませんか?

つまり、指導において求められるのは
「信念」と「向き合い方」なのです。

■現場リーダーに必要なのは“問いかけ”と“寄り添い”

建設業界でも「叱る」に関して
新しいアプローチが求められています。

たとえば、ある企業では
以下のような手法を用いています。

「なぜそうしたのか」を問いかけ、
若手に自分の判断を言語化させる。

「上司はこう思うけど、君はどう思う?」と、
対話の形にする。

叱るよりも“視座を上げさせる”質問を投げる。
 例:「この設計で協力会社が困らないかな?」
   「発注者の視点で見たらどうかな?」

ただ怒るのではなく、相手の信念や価値観に
「気づかせる」ことこそが、成長の種になります。

■「叱られて救われた」記憶はありますか?

三浦選手はこうも語っています。

「叱られて救われた記憶があるのは僕だけじゃないだろう」

これは、叱ることの本質が
「相手を矯正する」ためではなく
「救う」ためにあることを示しています。
厳しい言葉でも、
そこに本気と愛情があれば、伝わる。
逆に、どんなに丁寧な言葉でも
「自分を守るだけ」の叱責では、
若手の心には届かない。

私たち現場の技術者も、
自分が“救われた叱られ方”を思い出し、
それを今の若手向けにどう表現するかを
考えてみる必要があるかもしれません。

■まとめ

・「叱る=矯正」ではなく
 「叱る=救う」という視点を持つ

・叱るよりも“問う”ことで、
 若手に考える力をつけさせる

・若手の価値観を否定せず、信念に寄り添う

いま一度、自分の「叱り方」と
向き合ってみる機会になればと思います。

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