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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2025年8月29日
NO2433
◆今年は「熱中症対策義務化元年」―この夏を乗り切れるか?
全国各地で最高気温40度超えを記録し、
「もはや日本の夏は災害レベル」と言っても
過言ではありません。
2025年6月、厚生労働省は
労働安全衛生規則を改正し、
熱中症対策を“罰則付き”で義務化しました。
初の義務化を迎えた今年、建設現場は
これまでにない暑さと制度対応の板挟みで、
過酷な夏を迎えています。
◆なぜ義務化されたのか?―増え続ける死傷者数
熱中症による休業4日以上の労災件数は、
2024年に過去最多の1257人に。
その中で死亡災害は31件、
うち10件(約3分の1)が建設業という
厳しい現実があります。
もはや「気をつけていれば防げる」では
済まされず、組織として、システムとして
対策する必要がある時代になったのです。
◆建設現場がとるべき3つの義務対応
今回の法改正により、
以下の3点が法的に義務化されました。
(違反すれば、6か月以下の懲役
または50万円以下の罰金も)
1. 報告体制の整備
→ 熱中症の恐れがある作業員を早期発見し、
上司へ報告できる仕組みの構築
2. 処置手順の明文化
→ 熱中症発症時の対処フローを定め、掲示などで共有
3. 関係者への周知
→ 朝礼や掲示物、チャットなどを使って、
対策と行動基準を周知徹底
◆「元請」「下請」「一人親方」… 全員に対策義務
特に建設業では、
元請・下請・一人親方が入り混じって
働くため、対応は複雑です。
下請業者は、自社作業員の対策を講じる義務
元請業者は、下請の対策を監督する義務
一人親方であっても、元請が対策する必要があります
つまり、現場全体で安全を守る
「共通責任」が求められているのです。
◆熱中症対策の“DX”が進む
この法改正をきっかけに、
建設業界ではウェアラブル端末を使った見守りや
AI温度管理など、DX活用も加速しています。
たとえば:
・体温や心拍数をモニタリングするセンサー
・WBGT(暑さ指数)計測システム
・体を冷やすベストや空調服の普及
・現場近くにエアコン付き休憩所を設置
・塩タブレット・かき氷・冷却ゼリーの配布
国交省のNETIS(新技術情報提供システム)にも
多数の関連技術が登録され、導入すれば
入札加点の対象になる場合もあります。
◆現場責任者が問われる“覚悟と柔軟性”
いくら制度が変わっても、
現場の管理者が本気で取り組まなければ
対策は形骸化します。
「まだ大丈夫だろう」
「俺たちの若い頃は…」
こうした古い感覚は、
最悪の結果を招きかねません。
むしろ今、求められるのは:
早めの休憩指示
作業時間の見直し
体調の見える化
“暑さで工期遅延”を前提とした工程管理
です。
実際、東京都や熊本市などの自治体は、
熱中症による作業中断に伴う工期延長や
費用補償に柔軟に応じる方針を明示しています。
これは非常に心強い支援です。
◆おわりに
建設業界は今、
「命を守る職場」かどうかを
厳しく問われています。
対策を怠れば、
死亡事故や法的責任を負うだけでなく、
若手の離職や採用難を加速させてしまいます。
熱中症対策は、作業効率の問題ではなく、
“人材を守る経営戦略”であると
強く認識すべきでしょう。
あなたの現場では、
義務化された対策を
「実施済み」と言い切れますか?
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【編集後記】
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いつもとても元気な方でも
急に熱中症になった事例があります。
くれぐれもご安全に。
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社長ブログ