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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2025年6月6日
NO2401
◆地元の底力、大林組が見せた「万博リング前倒し完成」の舞台裏~施工管理者に求められる“技術×現場力”の真価~
2025年4月13日に開幕した大阪・関西万博。
開催に向けて「本当に間に合うのか?」という
不安の声が多く聞かれましたが、
会場の大屋根「リング」の構造物は、
計画よりも1カ月半早く完成しました。
その立役者が、大林組です。
今回は、施工管理技術者にとって
多くの学びが詰まった、
この挑戦の裏側を紹介します。
◆「万博=特別」ではなく「万博=突破口」
大林組にとって大阪・関西万博は
単なるイベントではなく、
“地元の意地”をかけたプロジェクトでした。
同社は過去の1903年「内国勧業博」や1970年の
大阪万博でも中心的な役割を果たしており、
今回は世界最大級の木造建築
「大屋根リング」を含め、統括施工者として
工事全体の舵取りも担いました。
◆木造×巨大建造物に挑む──「大屋根リング」の施工技術
リングは、高さ約20m、全長約2kmの巨大構造物。
これを木造で構築するという前例のない試みでした。
工夫されたのは以下の点:
伝統工法の改良:
柱と梁の接合に金物を工場で埋め込み、
木栓と併用して強度を確保。
高所作業の削減:
柱・梁を地上でユニット化し、
現場で据え付け。
実物大のサンプル構築→解体→再構築で施工手順を事前検証。
これらの工夫が、
工期短縮と安全性確保の両立につながりました。
◆DXによる進捗・出来形管理──「可視化」がカギ
夢洲の会場では、サイバー空間での
進捗・出来形管理が導入されました。
デジタルツイン的な運用により、
形状や寸法の確認から
工期の進捗把握までを一元管理。
さらに、自社開発の
工事車両管理支援システムにより、
1日1000台以上の工事車両を
スムーズに誘導し、渋滞ゼロを実現しました。
セキュリティ対策にも抜かりはなく、
顔認証による入退場管理で
現場の安全性と効率性を両立させました。
◆「地元のつながり」が人を動かす
技術だけでなく、現場を動かしたのは
「人と人との信頼関係」でした。
大阪を地盤とする大林組は、
地元協力会社とのネットワークに支えられ、
作業員確保の困難な時期にも人材を確保。
ベテラン所長たちの人脈と地元愛が、
施工力を最大化したのです。
◆施工管理技術者に問われるのは、“全体を見通す目”と“現場を動かす手”
このプロジェクトから学べるのは、
次の3点です:
現場を動かすには、
「技術」×「準備」×「人間力」が不可欠
デジタルとフィジカルの融合が、
未来の施工管理を変える
地域との関係性が、
技術の発揮を支えるインフラになる
◆夢洲再開発へ、次のステージへ
万博が終わっても、夢洲開発は続きます。
大林組はすでに、
夢洲2期開発(IR・サーキット整備含む)にも
意欲を示しており、今後のプロジェクトにも注目です。
建設業界は“まちづくり”の主役です。
大規模イベントが残すのは、建築物だけでなく
「地域の未来そのもの」かもしれません。
日経ビジネス 5月14日号を一部参考にしました。
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【編集後記】
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私は1970年の大阪万博、愛知万博、
そして今回の大阪関西万博に行けました。
3万博制覇できてうれしく思います。
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社長ブログ