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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2025年4月23日
NO2383
◆現場のハラスメントを防ぐには服務規律を工夫すると良い
建設業界では、厳しい工程、複雑な利害関係、
多様な人材が入り混じる現場環境の中で、
現場を「回す」ことが何よりも重要です。
ところが、この「現場運営」を阻む
大きな障害のひとつが、ハラスメントです。
特に近年では、
パワハラ、セクハラ、マタハラといった言葉が
日常的に聞かれるようになりました。
これらは現場の士気や
チームワークを壊すだけでなく、
企業としての社会的信頼や
法的責任にも直結します。
では、どうすれば現場を健全に保ち、
トラブルを未然に防ぐことができるのでしょうか?
その鍵が「服務規律」です。
◆服務規律とは何か?
服務規律とは、会社が社員に求める
行動基準を定めたものです。
時間を守る
上司の指示に従う
機密を守る
誠実に勤務する
…といった基本的なことから、
ハラスメント行為の禁止
職場でのマナー
緊急時の対応
といった、より時代に合った内容まで含まれます。
この服務規律が、
ハラスメント防止の基盤になります。
◆ハラスメントが現場を壊す
建設現場では、
指示や指導が日常的に行われますが、
「それ、パワハラでは?」という境界線が
非常にあいまいです。
以下は実際に裁判で
企業責任が問われた事例です。
・【パワハラ事例】
上司による人格否定や長時間の叱責が原因で、
部下が心を病み、自殺に至った。
→ 企業は「安全配慮義務違反」として
損害賠償責任を負いました。
・【セクハラ事例】
職場に相談窓口がなく、
セクハラを放置していたため、
企業に不法行為責任が認められた。
・【マタハラ事例】
妊娠中の職員に対し、
勤務時間を一方的に短縮したり無視した結果、
「良好な職場環境を維持する義務違反」と
判断された。
これらに共通するのは、
企業が“対応しなかった”こと自体が
違法とされている点です。
◆現場でできる「ハラスメント対策」
建設業は現場主義。現場の長であるあなたが、
ハラスメントを「未然に防ぐ風土」を
つくれるかどうかが問われています。
以下の3つは、
現場でもすぐに実践できる
ハラスメント防止策です。
1) 服務規律で「ハラスメント禁止」を明文化しよう
まずは就業規則や服務規律に
「パワハラ・セクハラ・マタハラの禁止」を
明記することが第一歩です。
上司の何気ない一言が相手を傷つける
冗談のつもりがセクハラになる
無視や差別的発言がマタハラと認定される
これらを「誰にでも起こりうること」として
周知しておきましょう。
2) 研修や定例ミーティングで啓発する
現場の朝礼や月例ミーティングで、
服務規律とハラスメントをテーマに
「1分トーク」をするだけでも、
現場の空気は変わります。
特に管理職・主任クラスの研修は必須です。
どこからがパワハラか?
若手社員との世代ギャップをどう埋めるか?
SNS時代に求められる「言葉選び」とは?
こうした研修が、現場での
誤解やトラブルを未然に防ぎます。
3) 相談窓口と通報体制を明確にする
「何かあったら、あの人に相談すればいい」
この安心感が、現場に余計なストレスを与えない
環境づくりにつながります。
・匿名でも相談できる
・通報した人が不利益を受けない
・外部の窓口を設ける(社労士、弁護士など)
これらは、建設業のような縦社会でこそ重要です。
◆あなたの現場を守るのは、あなたの言動です
サービス残業、厳しい指導、
女性社員の扱い、妊娠中の配慮。
すべては、「今までは大丈夫だった」が
通用しない時代になっています。
上司として、所長として、現場代理人として。
「服務規律は自分のためでもある」という
視点を持っていただきたいのです。
・ルールがあるから指導がブレない
・相談窓口があるから組織として対応できる
・規律があるから現場に安心感が生まれる
◆まとめ:「強い現場」には、ルールと信頼がある
ハラスメント防止は、
単なる法令遵守ではありません。
若手が安心して働ける環境
中堅がのびのびと活躍できる風土
ベテランが尊敬される職場
それを支えているのが「服務規律」です。
忙しい現場だからこそ、
基本に立ち返ることが求められています。
「現場の秩序を守ること」が、
最高の生産性につながる、
そんな時代がもう始まっています。
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【編集後記】
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来週からゴールデンウィークです。
連休前工事で多忙な方、
連休中工事の準備されている方、
がいらっしゃることでしょう。
くれぐれもご安全に。
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社長ブログ