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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2025年5月21日
NO2394
◆若手が辞めない「育て方」~ある左官店の挑戦~
「また若手が辞めてしまった…」
そんな声を、建設業界で何度耳にしてきたでしょうか。
実は、職人の世界である左官業でも
同様の悩みがありました。
しかし、東京にある原田左官工業所は、
15年にわたる改革によって、
若手の定着率を大きく改善。
その秘訣は、たった一つの育成法と、
覚悟ある仕組みづくりにありました。
◆「モデリング」が変えた“見て覚えろ”の世界
従来の職人教育は、「見て盗め」が当たり前。
しかし、今の若手は質問できないまま孤立し、
辞めていくという悪循環に陥っていました。
そこで原田社長が取り入れたのが
「モデリング」という育成法。
熟練職人の作業動画を見る
自分の動きを撮影し、比較して改善する
これにより、
「やってみる→振り返る→再現する」
というPDCA的なスキル習得が可能に。
さらに、入社直後から実際にコテを握り
“塗る”体験ができる環境が、
若手のやる気を一気に引き出しました。
「触れることから始める」育成が、
成長への最短ルートとなったのです。
◆明示されたキャリアパスが意欲を育てる
原田社長は
「職人にも道しるべが必要」と考え、
「職人一年生」という肩書きを導入。
修行期間の節目を設け、
年次と技術の成長が見える仕組みにしました。
また、若手の志向に応じて
学びの方向を柔軟に調整できる制度も整備。
「左官を極めたい」
「デザイン寄りの仕事をしたい」
「施工管理にも挑戦したい」
といった多様なキャリア設計を可能にすることで
やりがいを持続できる職場を実現しました。
技術を磨くだけでなく、
「自分らしい未来を描けるか」が、
若手定着のカギです。
◆“おたがいさま”の文化がチームを支える
同社が築いたもう一つの柱は、
「おたがいさま」の文化です。
例えば、女性職人が増えても、
無理をさせず現場と内作を柔軟に分担。
現場に出られないときはサンプル作成や段取りで
支え合う仕組みを整えました。
「できる範囲で全力を尽くす」が
当たり前の空気を、30年かけて育ててきたのです。
この風土こそが、
誰もが安心して働ける現場をつくり、
結果として離職率は5%台という驚異の数値に。
◆最初の一歩を支える育成
原田左官工業所の取り組みに共通するのは、
「若手のやる気を信じ、最初の一歩を後押しする」姿勢です。
入社直後に塗る体験を与える
自分の動きを見て学び、改善する
ゴールが見える育成設計
多様なキャリアの選択肢
お互いを支え合う文化
これは、左官に限らず、
すべての現場で活かせる人材育成のヒントに
なるのではないでしょうか。
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【編集後記】
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急に暑くなってきました。
塩分、水分を取って、熱中症にお気をつけください。
くれぐれもご安全に。
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社長ブログ