【がんばれ建設】NO 1112【建設技術】「ICTに振り回されるか、使いこなすか」
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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
作者;ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2018年5月30日
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今日の一言
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「ICTに振り回されるか、使いこなすか」
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人手不足や時代の流れを背景に
建設ICTやi-Constructionが急速に広まってきています。
ICT技術の活用を前提とした発注工事も
増えています。
一方
「最新技術はまだまだだ」
とか
「これまでのやり方の方が効率的だ」
などとなかなか新技術に踏み出せない技術者も
いるようです。
ちょっと時代をさかのぼって最新テクノロジーについて
考えてみます。
『AIに振り回される社長 したたかに使う社長』長尾一洋著
(日経BP)に、おもしろい記述がありましたので
紹介します。
戦国時代には鉄砲という新しいテクノロジーが登場し、
戦い方を変革させました。
その象徴的な場面が、甲斐の武田軍と
織田・徳川連合軍が戦った長篠の合戦です。
有名な合戦なのでご存じの方も多いでしょう。
武田勝頼率いる武田軍は、数では劣るものの
騎馬隊が強くて強敵です。
そこで、織田信長は、騎馬隊の動きを封じるために
馬防柵(ばぼうさく)を設け、その後ろに3000もの
鉄砲隊を用意して待ち受けました。
武田軍には、信玄亡き後とはいえ、騎馬武者、すなわち、
馬上で槍や刀を使いこなす技術を持ったプロの武士が
たくさんいたと言われています。
それに対して織田も徳川も兵の数は多いものの
新興勢力だけにかき集めてきた農民兵(足軽)が多く、
武士としての個のスキルでは劣っていたはずです。
そこで、織田・徳川軍は、鉄砲という最新のテクノロジーを
大量導入し、馬防柵の後ろで一斉射撃するという戦法を
とったわけです。
一説には、鉄砲隊が3列になって順番に撃つ三段撃ちで、
装填に時間がかかり連射のできない火縄銃の弱点を
消したとも言われています。
ここで大切なことは、最新テクノロジーである鉄砲の
存在を武田方も知っていたし、鉄砲も持っていたということです。
武田軍も織田・徳川軍もともに最新テクノロジーを
導入していたのです。
しかし、そのテクノロジーの使い方、活用法が違ったのです。
この戦いを見た人は、
「さすが信長殿は、いいこと思い付くなぁ。
柵の後ろで鉄砲をうつのはいいアイデアだぁ」
と思ったでしょうか?
戦国時代に「武士業界」があったとすると、長篠での
織田信長の戦い方は、業界内で、武士として卑怯な
やり方であり、武士なら武士らしく刀か槍で堂々と
戦うべきだと非難されたのではないでしょうか。
武士の戦いは刀か槍でするもので、鉄砲はあくまでも
補助的に使うべきであり、柵の後ろで隠れていないで、
正々堂々と戦うのが武士のあるべき姿との考えです。
しかし、それを現代から見てみると、敵の強みである
騎馬隊の、まさにその強みを消すために馬防柵を作り、
プロ武士の少ない自軍の弱みを鉄砲という
最新テクノロジーで補おうとした織田信長の判断は
合理的に思えますし、こうした戦い方のイノベーションを
実現した改革者として織田信長の「したたかさ」を
認めないわけにはいかないでしょう。
これがテクノロジー(の導入や活用)が
ビジネスモデル(や戦略)を変えるということです。
AIだから特別なわけではありません。
ここで面白いのは、ほかの戦国武将も最新テクノロジー
である鉄砲を知っていたし、所有もしていたということです。
鉄砲を知っていたのが織田だけで、ほかの武将は
知らなかったのであれば、織田信長が天下を取る寸前まで
いったのは鉄砲のおかげだと単純に考えられます。
しかし、そうではありません。
武士業界の常識やしがらみにとらわれてしまって、
新しい武器を取り入れる意識変革ができなかったことで、
武田家は滅亡したのです。
この鉄砲を現代のAIに置き換えて考えてみれば
よくわかるはずです。
これだけマスコミでも騒がれていのだから、
AIの存在を知らない経営者はいないでしょう。
少なくともスマホやお掃除ロボの存在くらいは知っているはずです。
織田信長は鉄砲の可能性に気付き、大量に確保し、
その活用に独自の工夫を加えました。
AIも、その存在を知り、どんなものかを研究するだけでなく、
その活用の可能性を考え、それを自社ビジネスにどのように
応用できるかを考えるところで差が付くのです。
当時の鉄砲にも問題があったでしょう。
弾を込めるには時間がかかるし、何しろ製造技術も
未熟だったはずです。
火薬の確保にも苦労があったでしょうし、鉄砲隊が
鉄砲を撃つ技術も不十分だったはずです。
そのマイナス面ばかりに目を向けると、
「鉄砲はまだ使えない」
「鉄砲は不完全な武器であり、それなら慣れている刀や
槍のほうが優れている」
などと否定的な判断がもっともらしく聞こえたかもしれません。
これは、今のAIの議論でも同様です。
AIと言ってもそのレベルはさまざまであり、
人間に勝ったと言っても囲碁や将棋の世界であって、
実社会ではどこまで積ようするかわかりません。
AIを搭載したロボットと会話をしてみたことがありますが、
ちょっと突っ込んだ話をすると答えられなくなりました。
問題はたくさんあります。
だからといって、慣れている従来のやり方のほうがいいと
考えるなら、21世紀の織田信長となるのか、
武田勝頼となるか、もう明白です。
(以上引用終わり)
同じような状況が現在の建設業界でも
起きていると思います。
工事のICT化のみならず、業務の効率化に向けての
IT技術の活用についても同様です。
「社員にタブレットを持たせても宝の持ち腐れだ」
「社長が最新ソフトを買い与えてくれたけれど
使いこなせない」
などといいながら、従来のような手作業で進めている人が
多いのです。
『草履片々(ぞうりかたがた)、木履片々(ぼくりかたがた)』
という言葉があります。
慌てて家を出たとき、片足に草履、もう片足は下駄と
いうような状態であったとしても、人は、
とにかく走り出さなければならない時があるということ。
よくわからない状態でも現在は走り出さなければならない
状態です。
新しいテクノロジーをどんどん取り入れる技術者で
ありたいものです。
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【編集後記】
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今回のICT技術の件
ハタ コンサルタント株式会社でも昨年来かなり
進めています。
最初は使い慣れないのでかなり戸惑いましたが
徐々に慣れてきたところです。
『草履片々、木履片々』
を実感します。
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