社長ブログ

【がんばれ建設】NO 1337【最新技術】「墨出し作業を自動化で生産性を3倍に」

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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
作者;ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2019年6月7日

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今日の一言
「測量のICT」
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竹中工務店は、建設現場の床に部材の位置などを実寸で描画
する「墨出し」を自動で実施するロボットを開発しました。
これまで職人が担っていた墨出しを、夜間にロボットに任せて
現場の生産性を高めます。

 ロボットと測量機の動作はまず、墨出しする位置に向けて
測量機が正確にレーザーを照射します。
同時にロボットは、墨出しする大まかな位置に移動します。
続いて、測量機の方向へ旋回して、レーザーを正面から受け
ます。
ロボットの中央に取り付けた板とカメラでレーザーを感知す
ることで、機体の位置と角度のズレを算出します。
ズレを補正して正確な位置に墨出しします。

位置のズレを算出する原理は単純です。
墨出しする正確な位置にロボットがあれば、板の中心点と
レーザーが当たる点が一致します。
板の中心点とレーザーの点の距離を測定することで、ロボット
の位置のズレが分かります。

 角度のズレも高校レベルの数学の知識で算出できます。
ロボットが測量機に正対していれば、板を前後に動かしても
レーザーが当たる点は変わりません。
板を前後に動かしてみて、レーザーの照射位置の変化を測る
ことで、ロボットの角度のズレが計算できます。
こうして算出した位置と角度のズレを基に、ロボットに搭載
したペンが正確な位置に墨出しします。

他社は、ロボットを自動追尾できる高価な測量機「トータル
ステーション(TS)」によって、墨出し作業の正確性を担保
しています。
一方、竹中工務店は、ロボットを自動追尾しなくても正確な
位置に墨出しができる仕組みを考案し、安価な測量機で済ませ
ました。
TSは数百万円から1,000万円ほどするのに対して、竹中工務店が
採用した測量機「3D Disto」は80万円程度です。
ロボットを含めても200万円ほどで、他社のロボットの半額以下
で済みます。

墨出しロボットの特長は次のとおりです

1)OAフロアの1点あたりの墨出し所要時間を従来機の98秒から
33秒に短縮し、従来比約3倍の生産性向上を実現。
約4時間で100m2の墨出し作業を完了。

2)職人が作業しない夜間などに、墨出しロボットを無人稼働
させることで、職人が建築部材取付等の本作業に充てる時間を
増やし、生産性を向上。

3)自動追尾機能を持たないレーザ測量機の利用、ペンプロッタ
方式の採用により、機器コストとランニングコストを低減。

4)機能をしぼり、システム、機械構成を見直すことで、17kg
まで小型・軽量化。

元請建設会社の若手技術者は、業務の多くの時間を測量に
費やしていますので、このような技術開発が進むと
かなりの生産性向上につながります。

参考文献:日経アーキテクチュア
参考ウェブサイト:https://www.takenaka.co.jp/news/2019/04/03/index.html