社長ブログ

台湾の橋梁崩落 日本の橋梁は大丈夫か【がんばれ建設】NO 1410【建設技術】

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
作者;ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2019年10月9日

**************************************************
今日の一言
「ワイヤー点検の重要性」
*************************************************

 台湾北東部・宜蘭県(ぎらんけん)の漁港内で2019年10月1日朝、
鋼製アーチ橋が突然崩落しました。
崩れた橋や通行していたタンクローリーが、桁下で停泊していた
漁船に直撃。
少なくとも4人が死亡、10人が負傷しました。

アーチ橋崩壊の動画です

 崩落した「南方澳跨港大橋(なんぽうおうここうだいきょう)」
は、漁港の敷地内に架かる鋼製の交差型単弦アーチ橋。
1本のアーチが橋台に向かって2つに分かれる世界的にも珍しい構造
です。
橋は長さ140m、幅15m、高さ18mで、海面からアーチの頂上までの
標準的な高さは47.5mでした。

交差型(逆Y字型)単弦アーチ橋はスペイン・セビリアにある
バルケッタ橋(英語版、スペイン語版)(1992年開通)に次いで
20世紀開通のものとしてはアジアでは唯一かつ初の採用例となって
います。
逆Y字型自体はほかにデ・オーフェルステーク橋(オランダ語版)
(2013年開通、オランダ・ナイメーヘン)やテルセール・ミレニオ橋
(スペイン語版)(2013年開通、スペイン・サラゴサ)などがある
程度で、世界的に見ても採用例は少ないです。

 設計と施工はいずれも現地企業で、設計を亞新工程顧問(MAA)、
施工を立永営造が手掛けましたた。
台湾政府の補助事業として、県農業局が1998年6月に建設しました。
総工費は2億7000万台湾元(約9億4000万円)。

 現地メディアによると、橋は10月1日午前9時30分(現地時間)
ごろに崩壊しました。
崩壊の瞬間を捉えた動画では、アーチ中央付近のケーブルが破断
して橋桁が落下。
直後にアーチを含む橋全体が崩れ落ちる様子が確認できます。

橋桁の落下によって直下に停泊していた漁船3隻が下敷きになりました。
 崩落時には1台のタンクローリーと歩行者が橋を通過中でした。
崩落後、水面にはタンクローリーから流出した燃油が広がっています。
直下に停泊していた3隻の漁船が下敷きになったとみられます。

現地では崩落が起こった前日の9月30日に強い勢力を持った台風が
通過しましたた。
さらに事故直前の10月1日未明には台湾東部の花蓮県沖を震源とする
地震マグニチュード3.8の地震が発生しており、事故との関連が
指摘されています。

 2016年に橋を管理する台湾港務の委託を受けた健行科技大学
などが点検を実施しています。

2016年の検査を担当した業者は「橋に深刻な錆が生じていたことに
気づき、何度も港務公司に報告したが受理されなかった。」と
証言し、構造工学者の業界団体である新北市結構工程技師工会の
理事長も「絶対に台風とは無関係」と反論しています。

同様に現場を視察した台中市結構工程技師公会の理事長も、
「崩落はワイヤーの錆が原因で、海上橋であることを考慮すれば、
点検と補修が3年に1度では不十分で、毎年やらなければならないだろう」と述べています。

今回の事故は他山の石として、日本でも対策を考える必要がある
でしょう。
以前より橋梁点検の遅れが指摘されており、日本でも同様のことが
起こる可能性はあります。

特に十分なワイヤー点検が欠かせません。

日経 xTECH/日経コンストラクション 10月3日記事を一部参考に
しました

*************************************************
【編集後記】
*************************************************

またもや台風が近づいています。
台風養生がこれからたいへんでしょうが、くれぐれも事故に
注意してください。