社長ブログ

日本の「SABO」技術で世界を守る【がんばれ建設】NO 1411【建設技術】

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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
作者;ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2019年10月10日

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今日の一言
「砂防はSABO」
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「PROJECT SABO」と名付けられた事業が現在、スリランカで行われています。
土砂災害を防ぐ様々な技術を移転する国際協力機構(JICA)の海外
支援です。
あまり知られていませんが、SABO(砂防)はTSUNAMI(津波)同様、
日本語がそのまま世界用語になっています。

スリランカでは洪水や土石流で多数の住民が死亡する豪雨災害が
たびたび起きてきました。
2018年までの5年間、JICAは土砂災害を防ぐ構造物の設計や施工、
維持管理の技術支援を実施。
今年からは、土砂災害の危険性が高い地域を示すハザードマップの
作成や早期に警報を発令する仕組みづくりといったソフト面の対策
の支援を始めました。

都市部も被害を受ける洪水に比べ、地滑りや土石流は住民の少ない
山間地の災害のため、多くの国で対策は遅れがちです。

スリランカより前に日本が防災ソフト対策の支援をしたブラジルも、
11年にリオデジャネイロで900人超が犠牲になる土砂災害が発生する
まで、地滑りや土石流の対策はあまり講じられていなかったとい
います。

ブラジルでは12年以降、国がSABOに本腰を入れ、観測施設の整備や
災害リスクを考慮した都市開発を進めています。
日本は要請を受けて専門家がブラジルの国家機関に出向き、リスク
評価や管理のマニュアル作成、早期警報システムづくりなどを
手助けしました。

海外のSABO担当者を日本に招く研修も行われており、この9月にも
スリランカから来日した5人が長野県の土砂災害発生地や対策事業の
視察などをしました。

日本の砂防は国際的に評価されており、戦前から砂防ダムが整備
されてきた富山県では、歴史的価値の高い「立山砂防」の施設群の
世界文化遺産登録を目指す動きも起きています。

ただ、砂防は地味な分野で、近年は担い手となる技術者が減り、
砂防学会が今年、危機を訴える緊急声明を出すまでになりました。
砂防を専攻する大学の教員をはじめ産官学いずれの現場でも、砂防
の人材不足が起きており、将来の防災に大きな影響を与えかねない
という恐れが生じています。

私は長野県で、砂防機能も有する多目的ダムの建設に4年間
携わりました。
完成して数年後に現地に行くと、砂が満杯に近いほど貯まって
いました。
これが河川に流れ込んでいると河床が高くなり、相対的に堤防が
低くなることで、洪水の危険度が増します。

砂防SABOは日本国内でもなじみのない言葉ですが、もっとその
重要性を一般に周知する必要性を感じます。

日本経済新聞9/29記事を一部参考にしました

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【編集後記】
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地球温暖化に伴う海水温の上昇により、大雨が降る確率が増して
います。
そのため設計降水量を増やす動きがあるようです。
そうなると、堤防かさ上げ工事などがますます増えそうです。