社長ブログ

建設業が川を守る【がんばれ建設】NO 1421【建設技術】

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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
作者;ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2019年10月29日

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今日の一言
「治水5つの方法」
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台風19号に続く大雨で、多くの河川氾濫が生じました。
私は土木学科卒業をし、専門は河川工学なので、今回の被害には
大いにショックを感じています。

ではどうすれば洪水を防ぐことができるのか。
大原則は「水位を下げる」ことです。

そのためには5つの方法があります。

●手法1)洪水をある場所で起こし、川の水位を下げる

最も原始的な手法は、ある場所であふれさせることです。
ある場所で水があふれれば、そこから下流の洪水位は下がります。

私が河川工事をしているときに、堤防の標高が少し低くなって
いる場所があることに気づいたことがあります。

この手法は簡単で、効果は絶大ですが、社会的強者のために
社会的弱者が犠牲になる点です。
現代の日本社会で、この手法は合意を得られません。

●手法2)洪水を他へ誘導して、水位を下げる

河川の切り替えと呼ばれたり、放水路と呼ばれたりする手法です。

河川を切り替えて、洪水を他へ誘導してしまう。
そして、川の水位を下げて沿川の土地を守ります。
大都市の東京や大阪も、川を切り替えることによって
守られています。

江戸時代の利根川の切り替えで首都圏域は守られましたが、
利根川下流の茨城、千葉は何度も繰り返し洪水被害を受けること
となりました。

この方法も他に犠牲を強いてしまいます。

●手法3)川幅を広げて、水位を下げる

川幅を広げれば、洪水の水位は下がります。

しかし、河川拡幅には、川沿いの広い土地を必要とします。
そのため河川拡幅ではその貴重な土地を潰さざるをえません。
潰される土地の所有者の合意を得ることは至難の業です。

●手法4)川底を掘って、水位を下げる

川底を掘れば水位は下がります。

この川底を掘る工事は、川の中で行われるため、放水路や
川幅拡幅のように新たな用地を必要としません。
浚渫は洪水の水位を確実に下げ、かつ、用地の心配はないのです。

一方、大浚渫の結果、海の塩水が逆流するおそれが高まります。

利根川下流部の大浚渫が完了した直後の昭和33(1958)年、
利根川の上流奥深い50kmまで海の塩水が逆流しました。

利根川沿いの千葉、茨城一帯の農作物は壊滅的被害を受け、飲料水
も使用不可能となりました。
国は後追いで、潮止め堰の利根川河口堰を建設することにしました。

この痛い失敗の末、下流部の大規模浚渫では必ず河口で塩水を
止めることとしました。
長良川河口堰建設事業もその一環です。

下流部の大規模浚渫は、潮止めの河口堰という河川横断工作物を
必要とする宿命を持っているのです。

●手法5)ダム・遊水地で水を貯め、川の水位を下げる

ダムや遊水地は、水を一時的に貯め、全川の水位を下げます。
今回多くの水を堰き止めた八ッ場ダムはこの手法です。

しかし、この手法では広大な用地を必要とします。
しかも用地を必要とするだけでなく、用地を提供する地先には
なんらメリットがないのです。

メリットを享受するのは、遠く離れた下流都市です。
ダムや遊水池の用地を提供する人々は、一方的な犠牲者となって
しまいます。

とくに、ダム事業においては、山間部の村落をそっくり水没
させてしまい、生まれた家、学校、森や小川、田植えや稲刈りの
お祭りの思い出を根こそぎ消してしまいます。

私が長野県にて施工したダム工事では、水没家屋はありません
でしたが、「思い出」は消えてしまいました。

遊水地を地下に作れば用地は不要です。

「地下神殿」と呼ばれる「首都圏外郭放水路」(埼玉県春日部市)
は、利根川水系の中川や倉松川、幸松川の水を集め、排水ポンプ
を使って川幅の広い江戸川に排出しました。
15日午後3時までに排出した水は50メートルプール7600杯相当の
約1150万トンに上りました。

「治水の原則」それは「洪水の水位を下げる」ことです。
上記5つの方法は、それぞれメリットとデメリットがあります。
私たち建設業に生きるものは、それらを理解し、地域住民の
安全と安心を守るため、工事を進めたいものです。

東洋経済 竹村 公太郎著 2019/10/23記事を一部参考にしました。

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【編集後記】
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インフルエンザ予防接種の時期となりました。
ハタ コンサルタント株式会社では今期から、社員とその家族の
予防接種費用を負担することにしました。
みんなが健康で冬を越せるようにしたいものです。