「私にはこの仕事が向いていない」にどう答えるのか【がんばれ建設】NO 1450【人材育成】
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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
作者;ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2019年12月13日
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今日の一言
「「好き」と「得意」」
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学校で建設業を紹介する授業をすることがよくあります。
その時よく聞かれる質問に
「好きなことと得意なこと、どちらを優先すればよいですか」
というものです。
そもそも「好き」と「得意」とは、それぞれどのような状態にあるの
でしょうか。
「好き」;「ずっとやっていても飽きないこと」「自分の心が高まること」
「得意」;「センスがあること」「それほど練習しなくてもできて
しまうこと」「すぐに一定のレベルまで到達してしまうこと」
「好き」と「得意(センスがある)」には次のような方程式があります。
「好きな領域」×「得意な領域」=長所
つまり、「好きでありしかも得意である領域」を伸ばしていくと、
水を得た魚のようになります。
しかし、「好き」と「得意(センスがある)」の”交差点“が見つかる
場合はいいですが、「好き」と「得意」が別々の分野である場合、
問題が起こります。
「好き」と「得意」が異なる場合、次の4つのケースが考えられます。
●【ケース1】「得意」であるため、「好き」になった
「得意」であると自己肯定感が上がり、自分に自信がつくため、
「好き」になる可能性は高まります。
●【ケース2】「得意」だけれども、「好き」にはならなかった
「得意」である場合、比較的短期間でできるようになってしまいます。
すると、すぐに満足レベルに到達してしまい、“飽きてしまう”状態に
なりかねません。
すると、その「得意」分野では成長せずに一定レベルで終わっていきます。
例えば、大人で言えば、ゴルフで初めてコースに出て100を切ってしま
うとか、短時間で創作料理ができてしまうなどです。
子どもの場合で言えば、鉄棒で数回練習しただけで逆上がりができて
しまうとか、あまり練習していないのにピアノがスラスラ弾けてしまう
などです。
もし満足せずにより高いゴールを設定すれば、伸びていきます。
本人が“簡単にできてしまったこと”をどう捉えるかによります。
●【ケース3】「好き」であるため、「得意」になった
「好きこそものの上手なれ」という言葉があるとおり、好きであると
それを継続する可能性が高まり、「継続は力なり」の原則が働いて、
やがて「得意」になっていく場合があります。
重要なことは、「継続」ということです。
もちろん、間違った方法で継続しては、いつまでも上達しませんが、
基本的には継続すると力になります。
その場合は、「好き」が「得意」となっていくことでしょう。
●【ケース4】「好き」だけれども、「得意」にはならなかった
「好き」であっても、「得意」にならない場合、つまり上達しない場合
は、やっている方法が正しくないか、上達しなくても楽しければいいと
思っていることがほとんどです。
これらの理由から、「好き」「得意」が明確である場合は、
「得意」よりも「好き」を優先する方がよいでしょう。
好きなことは、人から言われなくても勝手に行い、没頭でき、継続
できる可能性が高いためです。
すると、継続は力なりで、やがて結果を出していく可能性がぐっと
上がります。
ただし「好き」の感情が一時的なことがあります。
「好き」の感情は偶然性があるからです。
数学の先生が好きだから数学が好きになる、というものです。
これは好きな先生がいなくなると数学が嫌いになるかもしれません。
偶然見たテレビ番組でかっこいいシェフの姿をみて、やりたくなった。
これも一時的な感情の高まりかもしれません。
好きな親戚のおじさんが○○をやっているので、自分もやりたいと思う
こともあるでしょう。
「偶然」近くに好きな親戚のおじさんがいただけで、この「好き」で
仕事を選ぶと失敗する可能性が高いです。
一方「得意」は「必然」であることが多いです。
生まれついた才能がある場合です。
このような場合は「得意」を優先するのがよいでしょう。
身長が高い人がバスケットボールで成果を出すというものです。
身長が高くその特徴を生かしたスポーツを選ぶというのは「必然」です。
●自分は施工管理より営業の方が向いているような気がする
という若手社員がいたとしましょう。
営業が好きで得意なら問題なく、営業をさせるのがよいでしょう
しかし営業が好きだが、得意でない(営業センスがない)場合
もしくは営業は得意(営業センス)だけれど、好きではない場合
があります。
これは「得意」を重視して配置転換を考えるとよいです。
結果を出すことで「好きでなかった」仕事が「好き」になる可能性が
高いです。
●「好きなこと、やりたいことがない」
「私にはこの仕事が向いていない」
などと自分の「好き」がわからないいう相談もよくあります。
その場合「得意」(「センスがあること」「それほど練習しなくても
できてしまうこと」「すぐに一定のレベルまで到達してしまうこと」)
が何かを考えさせる方がよいです。
これまでの人生を思い出して、センスがあると感じたことを書き上げて
もらうのもよいです。
このように若手社員は特に入社後3年間は、いろいろと悩むものです。
そのような場合、早く建設の仕事を「好き」に、そして「得意」に
なってもらうのがよいでしょう。
12月5日東洋経済オンライン 石田 勝紀著の記事を一部参考にしました。
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【編集後記】
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ほぼ毎日、異なる種類の研修やコンサルティングを行っています。
「よく毎日異なる仕事ができますね」
と言われることが多いです。
この仕事が「好き」で「得意」であるからでしょうか。