社長ブログ

日本の石炭火力発電はCO2にやさしい【がんばれ建設1480】

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がんばれ建設 
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2020年2月4日 

 NO.1480

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今日の一言
「技術で議論しよう」
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石炭火力発電に対する風当たりが強くなっています。

小泉環境相も石炭火力発電に対する反対意見を発言されています。

私は、1987~89年ころ、中部電力の碧南火力発電所建設工事に携わりました。

この発電所は石炭火力発電です。

当時は石油の安定供給が危ぶまれており、

埋蔵量の多い石炭が脚光を浴びていました。

慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授 太田 康広さんが、

「日本が太陽光より石炭火力をやるべき5大理由」

と題して書かれています。

石炭火力発電所建設工事に直接関与した私は、大いに共感する内容です。

以下に一部を紹介します。

●石油は9割弱を中東に依存している

中東で緊張が高まった結果、原油価格は急騰しています。

日本の石油輸入の2017年の中東依存度は86.9%で、

ホルムズ依存度は85.9%です。

ただ、2017年3月末現在、国家備蓄と民間備蓄などを

合わせた備蓄は8104万klあり、これは208日分に相当します。

●天然ガスの備蓄は20日分程度のみ

一方、天然ガスの備蓄は20日分程度です。

ただ、幸いなことに天然ガスの産地はあちこちに散らばっているので、

2017年のデータで中東依存度は21.0%、ホルムズ依存度は17.7%です。

ホルムズ海峡が封鎖されても、112日程度は大丈夫です。

●石炭は「ホルムズ依存ゼロ」

2017年の石炭の輸入先をみるとオーストラリアが73%、

インドネシアが12%で、これら2カ国で85%を占めます。

オーストラリアやインドネシアからは太平洋を通る航路がいくつかあり、

ホルムズ海峡閉鎖の影響は受けません。

また、日本国内にも3億6000万トンの石炭が備蓄されています。

これは、日本の石炭消費量の約3年分です。

●原発を温暖化対策の切り札にするのは難しい

CO2を出さない発電方法として原子力発電があります。

原発のコストは安いです。

最近、原発は高コストといわれることがあるのは、

福島第一原発事故以降の安全対策コストを加えているからです。

安全性の確認された原発を再稼働するのが、

エネルギー安全保障上は望ましいですが、

それが現実的かどうかについては人によって意見が違います。

●安全保障上プラスとなる自然エネルギー

温暖化対策において注目されるのは自然エネルギーです。

自然エネルギーのうち、水力発電と太陽光発電で8割超を占めます。

自然エネルギーは基本的に国産なので、

エネルギー 受給率の向上に役立ちます。

しかし、太陽光発電は日が照っていないと発電できません。

水力発電を、太陽光や風力の変動を相殺する

ように運用することで、電力供給を平準化できます。

●石炭火力は低コスト

1kWhあたり、コストは以下のようです。

原子力発電    10.1円

一般水力     11.0円

石炭火力     12.3円

バイオマス(混焼)12.6円

LNG火力     13.7円

石油火力     30.6~43.4円

太陽光(メガ)  24.3円

太陽光(住宅)  29.4円

風力(陸上)   21.9円

●高効率の「コンバインドサイクル発電」

日本の火力発電の効率は上がっています。

「コンバインドサイクル発電」方法が使われているからです。

コンバインドサイクル発電では、まず燃料をガス化して燃やし、

ガスタービンを回し発電します。

余熱を利用して蒸気タービンを回してもう1度発電します。

現在のコンバインドサイクル発電では、

約50%の熱効率が達成されています。

これは1950年代の火力発電の2倍から3倍の効率で、

CO2の排出は、その分少なくて済みます。

コンバインドサイクル発電は石炭火力に使うこともできます。

●CO2排出量は「テクノロジーで解決できる」

石炭火力で発生したCO2を捕まえて、

地中や海中に埋めてしまう方法が開発されています。

海底貯留と地下貯留の方法があります。

日本では2020年内の実用化を目指し、

苫小牧で大規模実証実験が行われており、

2019年11月には30万トンの圧入に成功しています。

私たちは技術者として、正しい情報を

わかりやすく伝える必要があります。

環境に関しては様々な意見がありますが、

技術的アプローチの重要性を痛感します。

その上で、情緒的な意見に対して、

きちんと技術論を述べる義務があると思います。

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【編集後記】
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現在ベトナム語で建設技術を学ぶツールを作成しています。

日本で働く多くのベトナム人の皆さんの

お役に立てるように、がんばります。