錆びずに溶接しても強度が落ちない鋼材とは【がんばれ建設1505】
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2020年3月13日
NO.1505
**************************************************
今日の一言
「さびの克服」
*************************************************
これまで土木技術者はさびを克服すべく、塗装したり
さびにくい鋼材を開発したりしてきました。
ステンレス鋼材の上位互換となる鋼材が普及しています。
高強度でかつ合金の量を抑えた省資源型の
「二相ステンレス鋼」です。
溶接しても、従来のステンレス鋼の母材以上の強度を持ちます。
特に塩害の恐れがある環境下で使用され始めています。
それは、ここ数年で東京を流れる川沿いの水門や橋に
次々と採用されている「高強度・省資源型二相ステンレス鋼」です。
荒川の支流にある上平井水門の耐震工事では、
扉体部約333m2に日鉄ステンレスSUS323Lが採用されました。
鉄に10.5%以上のクロムを加えたステンレス鋼は、
ニッケルを含むオーステナイト系と含まない
フェライト系に分かれます。
前者は溶接しやすいがコストが高く、後者は真逆の性質です。
両系統の長所を備えるように配合したものが、
二相ステンレス鋼と呼ばれます。
さらに長所をそのままに、全体の合金量を減らして、
コストも抑えたのが省資源型です。
日鉄ステンレスは2019年9月、二相ステンレス鋼に
新たなラインナップを加えました。
SUS316系の上位鋼となるNSSTS2351です。
SUS316系の約2倍の強度なので、鋼材重量を削減できます。
さらに、微量の合金元素の添加で特性を調整する
「マイクロアロイング」技術の導入によって
溶接部の耐食性を高めました。
SUS316Lと比べて、NSSTS2351はモリブデンの割合を1ポイント、
ニッケルの割合を7ポイントをそれぞれ減らしました。
省資源型の鋼材なので、価格が安定しています。
ステンレス鋼材は基本的に、防食用のコーティングが不要です。
そのため、メンテナンスコストの安いステンレス鋼材の
採用が徐々に増えています。
資源量が限られ、将来の枯渇リスクが高い亜鉛の使用を
抑えることにもつながり、地球環境への影響を最小限に抑えられます。
参考文献: 日経コンストラクション
2020年1月27日号記事を一部参考にしました。
参考ウェブサイト: https://stainless.nipponsteel.com/
*************************************************
【編集後記】
*************************************************
あすはハタ コンサルタント株式会社の
経営計画会議です。
世相を鑑みて、WEB会議とすることにし、
社員さんは可能な限り自宅で会議に参加します。
これまで部門会議ではWEB会議を活用していまし
たが、全社会議をWEB形式にするのは初めての試みです。