相手のノーをイエスに変える交渉術【がんばれ建設1562】
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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2020年6月12日
NO1562
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今日の一言
「ネガティブ情報は先に言え」
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現場では、様々な交渉ごとがあります。
発注者と設計変更の交渉をする
協力会社と見積もりダウンの交渉をする
近隣住民と工事進行の交渉をする
などです。
交渉ごとが上手く進まないと、工事の進行が
滞ってしまいます。
その際重要なことは話の順番です。
●話の「順番」が大事
例えば、「テレビショッピング」では、どのような「順番」で
話を進めているでしょうか。
たとえば、高枝切りばさみを売るとして、
テレビショッピングでは、いきなりその高枝切りばさみを
見せたり、「お値段はこちら」と結論を言ったりはしません。
まずは「高い位置にある枝が切れない」と悩む、
背の低い人や高齢の人が登場。
従来の枝切りばさみを使って切ろうとしてもうまくいかず、四苦八苦します。
そこで満を持して、今回の売りものである高枝切りばさみの出番です。
この高枝切りばさみを使うと、さきほどまで枝を切るのに苦労していた人も、
らくらく切ることができます。
十分にメリットや機能を説明したところで、いよいよ値段を提示します。
視聴者はすでに「なんて便利なはさみなんだ」と感動していますから、
値段が少々高くても、「このはさみがほしい」と考えます。
そしてダメ押しが「おまけ」。
「今ご購入いただいたら、さらにこちらもついてきます」と、
高枝切りばさみと一緒に使うとさらに便利な、
さまざまがグッズがついてきます。
視聴者は「今買ったらお得」「むしろ、今買わなきゃ損」と感じ、
電話をかけてしまうのです。
これを建設工事現場で例えると次のとおりです。
発注者に対して当初設計とは異なる新工法を
提案するとしましょう。
効果はありますが、当初設計よりも値段が高い工法です。
まずは当該地域は住民感情が悪く、騒音被害が発生すると
発注者にクレームが入るかもしれないという状況を話します。
そこで工法のメリットを発注者に対してお話しします。
従来工法よりも騒音が小さく、近隣住民からの
クレームが大幅に減るというものです。
その後、その工法の工事費を話します。
クレームがこないのであれば、少々高くても
やむを得ないと感じてくれるでしょう。
ダメ押しが「おまけ」です。
発注者の担当者が、その上司に説明しやすい資料や
動画や模型を作成すると、手間が省け、OKとなる確率が上がります。
●「ネガティブ面」を事前に説明する
どんな工法や製品にも欠点があるものです。
そんな「ネガティブ面」を伝えるタイミングにも注意が必要です。
例えば、ある靴を売るとします。
その靴はおしゃれですが、耐水性が低い。
快適に履き続けてもらうには、別売りの防水スプレーを
使ってもらうしかありません。
この事実を「どのタイミングで伝えるか」で、
お客さまの反応は180度変わります。
言うまでもなく、ベストなタイミングは
「お客さまがその靴を買おうかどうか悩んでいるとき」です。
「こんなネガティブ面がありますが、お客さまによくお似合いです。
いかがですか?」と尋ねれば、
お客さまは「なんて誠実な接客なんだ」と感じることでしょう。
ところが多くの販売員は、目の前の靴を売りたいがために、
この「逆」をやってしまいます。
お客さまに「お似合いですよ」と勧め、購入を決めた後にようやく、
「でもこの靴、実は耐水性が低くて……」
とネガティブ面を話し始めるのです。
たとえ「耐水性が低かろうが何だろうが、買う」と
決めているお客さまであっても、心のどこかに
「先に言ってくれよ」という引っかかりが芽生えることでしょう。
まるでこの販売員が、耐水性が低いというネガティブ面を
隠していたかのような気持ちになるからです。
同じ「ネガティブ面」があっても、先に伝えれば、
それは「誠実な対応」となり、
後から伝えれば、それは「隠していた」とか「言い訳だ」と
受け取られたりします。
ならば、先に伝えない手はありません。
先ほどの、新工法のことでいうと、
「騒音が小さいのですが、濁水が発生するので
濁水処理を考えないといけない」
のようなことです。
「濁水が発生するが、しっかり処理します。
しかし騒音は発生しないので、近隣住民からの
クレームは発生しません。」
と話すことで、より安心されるでしょう。
つまり、先に「ネガティブ面」を伝えることで、
「ポジティブ面」をより強調することができるのです。
不利な事実ほど、先に出す。
これが交渉を有利にすすめるための、強力な武器になります。
『1分で相手の「心」を開かせる メンタルトーク』
信長著(KADOKAWA)を一部参考にしました。