労働時間が長く賃金が低い建設会社を改善する方法【がんばれ建設1604】
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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2020年8月20日
NO1604
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今日の一言
「ICTの活用が決め手」
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日本人にとって衝撃的なデータを紹介します。
●OECDのデータによると、世界の主要国のなかで、
民間部門の時間あたり名目賃金(実際の金額であり、物価の変動で
調整しない)が、過去20年間で下がったのは
日本(マイナス7%)だけだった。
2018年までの20年間で、英国は83%、米国は75%、フランスは66%、
ドイツは56%も増え、IT化を急速に進めた韓国に至っては
2.7倍にもなった。
●USドルベースで比較した年間平均賃金(OECDデータ)は、
日本だけが4万ドル前後で20年間も全く増えない(増加率1%)。
その間、他の主要国は軒並み右肩上がりで賃金を上げていった結果、
英国・フランス・カナダ等に追い抜かれ、もはや日本は、韓国にも
追い抜かれそうな下位グループに落ち、OECD平均値(4万6686ドル)より
13%も賃金が安い国に成り下がった。
●過去20年間の年収増加率トップ3
1 ノルウェー(49%増)
2 韓国(38%増)
3 スウェーデン(37%増)
いずれもキャッシュレス化が急速に進んだ国で、
たとえば、スウェーデンでは国内銀行支店の過半数で
窓口の現金取り扱いを終了したという。
逆に下位3か国(日本、スペイン、イタリア)は現金比率が高く、
キャッシュレス比率と賃金は綺麗に正比例する。
●日本は依然、労働時間が多いグループに属する。
最も労働時間が短いドイツは、過去20年で1494時間→1363時間に短縮。
1680時間の日本より19%少ない労働時間で、4万9813ドルと、
日本より23%多い年収を得ている(2018年)。
「閉店法」がしっかり運用され、日曜は完全に定休日。
日本のイオンやららぽーとにあたるショッピングモールが毎週日曜日は閉店。
旅行者には不便なことに、スーパーも同様に一斉休業で、
深夜営業のコンビニも存在しない。
鉄道駅は信用乗車方式で、そもそも改札口が存在せず、職員も見当たらない。
その代わり、ボタン1つで質問できる機械が、
駅構内や電車内に設置されていた。
「連邦休暇法」によって、企業経営者は社員に毎年最低24日間の有給休暇を
与えなくてはならず、実際の運用上では、ドイツの大半の企業が社員に
毎年30日間の有給休暇を認めており、祝日(12日)を足すと、
土日以外に、年間42日間も休めるという。
つまり、日本は労働時間が長いのに、賃金が低い国なり下がったのです。
その中でも建設業はもっとも労働時間の長い業種にあたります。
では、どうすれば短い労働時間で、賃金を上げることができるのでしょうか。
方法は3つしかありません。
第一に、企業の粗利を増やす。
第二に、粗利の配分を変え、「人件費」を増やす。
第三に、テクノロジー(IT、AI、機械化)への積極投資によって
少人数で、短時間労働でも同じ業務が回るようにする。
以上3つのうち、最も実現可能性が高いのが、第三の方法です。
人間がやっている業務を機械やITに代替させることで、
着実に人間の労働時間を計画的に削減できます。
クラウドサーバー
オンライン会議
写真、図面管理システム
測量の自動化
AI、AR、VRの活用
等建設業が取り組めるICTは数多くあります。
さらに、国土交通省がICT投資する企業に
400万円の助成をする取り組みを始めました。
https://www.kensetsu-kikin.or.jp/management/seisansei/
ICT後進企業にならないよう、まずは社内改革を進めましょう。
『食える仕事食えない仕事』渡邉正裕著(東洋経済新報社)を
一部参考にしました。
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【編集後記】
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約1年間かけて執筆してきた書籍が
いよいよ発売になりました。
1冊目は新入社員や内定者に、
2冊目は外国人と一緒に働く企業の方にお勧めです。
書籍見本もついていますので、ぜひ一度ご覧ください。
「図解即戦力 建設業界のしくみとビジネスが
これ1冊でしっかりわかる教科書」(技術評論社)
「外国人との建設現場コミュニケーション術
雇用・育成・トラブル予防のポイント(学芸出版社)」