現場のミスを担当技術者の責任にするな【がんばれ建設1710】
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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2021年2月10日
NO1710
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今日の一言
「教育せずに現場責任者にするな」
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2019年10月に襲来した東日本台風で被害を受けた千曲川護岸の復旧工事で、
法覆ブロックの段差や目開き、胴込めコンクリートの充填不足などが
多発していたことが発覚しました。
段差や目開き、目地の施工不良は9123カ所、
胴込めコンクリートの充填不足は4348カ所に達していました。
ミスの数量が大量であった点、そして、大量のミスが発覚するきっかけが、
建設会社が自ら発見したのではなく、
発注者の監督員からの指摘であったという点が驚きです。
特に、目開きは最大50mmに達していたとのことですので、
現場を巡回している際に、なぜ気づかなかったのかという疑問が残ります。
監理技術者や現場代理人に河川工事の経験がない人が配置されていたとのこと、
また災害復旧工事のため、工期が短く急いでいたとのことですが、
これは言い訳になってしまいます。
さて、人手不足の昨今、十分な経験のない技術者を
現場代理人や、主任・監理技術者として配置することはよくあることでしょう。
そのことが原因で上記と同様のミスが起きれば会社は困りますが、
なによりその担当した技術者の精神的ショックは計り知れないものでしょう。
私が知っている範囲でも、同様のことが起きて
担当していた担当技術者が辞めてしまったということがよく起きています。
私はこれは担当技術者の責任でなく、次の2つのことが原因だと思います。
1) 若手に十分な教育をしないまま、現場責任者として担当させていること
2) 困っている現場を、工事部課長がフォローしていないこと
1)については、
教育はいまだにOJT主体で実施している建設会社が多く、
体系的に現場責任者のやるべきことを教えていません。
また2)については、
繁忙期には工事部課長も現場を担当しており、
部下の現場を見る余裕がないこと、
そしてそもそも工事部課長の本来の仕事が何なのかを
教育されていないことが多く見受けられます。
今回の千曲川の事例は、
どの建設会社で起きても不思議ではないと思います。
若手技術者の育成、工事部課長の育成が急務です。
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【編集後記】
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本文にも書きましたが、現場でミスをして
辞めていった若手技術者が不憫でなりません。
その後、どうしているのかわかりませんが
建設関連の仕事をしてくれていること、願っています。