高齢者に起きがちな事故は転落災害ではない 【がんばれ建設1720】
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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2021年2月25日
NO1720
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今日の一言
「高齢者には配慮が必要」
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建設現場で作業員の高齢化が進むなか、
新たなリスクが生まれています。
身体能力や認知能力の低下で、ささいなことがきっかけで、
重傷や死亡事故につながるのです。
現場によくある設備が一転して“凶器”となる可能性をはらんでいます。
その象徴的な事故が、商業施設の建設現場で発生しました。
労働基準監督署は、施工していた建設会社と同社の
現場代理人が労働安全衛生法に違反したと認定しました。
その後、書類送検しました。
事故は、建設現場に設けられた伸縮式の入退場ゲートで起こりました。
70代の作業者が、地上から5cmほどの高さに張ったワイヤに
つまずいて転倒しました。
顔などを強打し重傷化しました。
高齢だったことなどから、とっさに受け身を取るといった対応が
できなかったもようです。
建設会社は、その後、不起訴となりました。
とはいえ、労働基準監督署が転倒防止措置の不備を理由として
建設会社などの書類送検に至るのは異例です。
労働基準監督官は、次のようにいいます。
「ワイヤにつまずく事故は、全国どこでも起こっているはずです。
ただ、作業者が若いため『ヒヤリ』で済んでいただけでしょう。
高齢者の視点で、今一度現場を確認してほしいです」
再発防止として、注意喚起するとともに、ペイントによる段差部の明示や
通行禁止といった措置を全社に確認・指導しています。
高齢者の労災で最も多いのが、「転倒」です。
死傷者のうち60歳以上が41%を占めています。
身体能力や認知能力の低下で死傷リスクが高まります。
建設業では「墜落・転落」「はさまれ・巻き込まれ」に目が向きがちです。
しかし、厚生労働省が17年に労災の要因を年齢別に分析したところ、
60歳以上では転倒による死傷災害が2番目に多かったのです。
事態を重く見た厚生労働省は20年3月、
「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」を公表しました。
高齢作業者の健康状態や体力の把握、身体機能の低下を踏まえた
安全対策の実施などを事業者に求めています。
具体的な対策として参考になるのが、中央労働災害防止協会などが
18年にまとめた「エイジアクション100」です。
高齢者の作業に潜むリスクをあぶり出すチェックリストを示しました。
転倒防止対策として、段差や滑りやすい箇所への注意喚起や
現場内の整理整頓などを紹介していますので参考にしてください。
日経クロステック記事を一部参考にしました。
「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10178.html
「エイジアクション100」
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/age_action_100.pdf
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【編集後記】
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*先日社員さんからバースデーカードをいただきました。
そこには「その年齢に見えないです」と書いてありました。
お世辞とわかっていても、うれしいものです。