物語で話せば若手の離職を止められる【がんばれ建設1729】
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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2021年3月15日
NO1729
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今日の一言
「物語は相手の心を動かせる」
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若手社員が「辞めたい」といってきたとき、
どのように話せばよいのでしょうか。
「辞めるなよ」
「なぜ辞めるんだ」
などと問い詰めても、かえってかたくなになることがあるでしょう。
そこで、相手が共感する物語(ストーリー)を語ることで
興味を持ってもらい、同意してもらう方法があります。
これを「ストーリー話法」といいます。
若手社員から「辞めたい」という相談を受ける事例をみてみましょう。
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社員E 「Aさん、実は会社を辞めようと思うのですが」
自分A 「いったいどうしてだい」
社員E 「建設現場は、朝早くから夜遅くまで働きどおしだし、
建設業の先行きも不安なんです」
自分A 「そうか。実は私も10年前、E君と同じ気持ちだったよ」
社員E 「えっ、そうなんですか」
自分A 「ちょうど結婚したばかりで家内から、あなたはいつも家に帰るのが
遅いし、子供の面倒を見てくれないと言われたんだ。
それに、新聞では建設業は将来性がないと書いてあるけど、
あなたの会社は大丈夫なのって」
社員E 「僕の家内も同じことをいいます」
自分A 「そんな時、ダム工事現場の近くの住民から言われた一言が
僕の人生を決めたよ」
社員E 「なんて言われたのですか」
自分A 「それはりんご農家の方で、その地域は水道が引かれていないので、
川の水を畑でつかっていたんだ。
だから渇水が起きると畑の水がなくなり、果実の収穫に
影響をしていたそうだ。
『ダムができると水道が引かれ、渇水の心配がなくなるので、
早く完成させて欲しい。期待しています。』と言われたんだ」
社員E 「完成したら、さぞ喜ばれたでしょうね」
自分A 「竣工後現場にいったら地元の方々に大歓迎されたよ。
『ダムのおかげで収穫量が増えたし、以前よりもおいしい
リンゴができるようになりました。
ありがとうございました。」と。
それ以来、私は『ありがとう』と言っていただける人がいる限り、
建設の仕事をしていこうと決めたんだ。」
社員E 「すばらしいお話ですね。
お客様というと、普通は発注者のことを思い浮かべるのですが、
私たちの作ったものを使う人がお客様なのですね。
僕ももっと『ありがとう。』と言ってもらえるよう、
この仕事でがんばります」
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ではなぜ、ストーリーで伝えると伝わる効果が高いのでしょうか。
1)相手との距離が縮まる
相手と同じような体験談を話すことで、話し手に親近感、信頼感が生まれます。
失敗談や弱さの自己開示は話し手の正直さ、誠実さを受け取ることができます。
2)インパクトがある
体験に基づいた話はインパクトがあります。
人は、出来事や事柄より、その人からしか聞けない話し手の生きざまや
苦労話に興味を持つものです。
3)理性でなく感性で聞くことができる
物語を聞くと感情が揺さぶられます。
理論的な説明だけでは好奇心やワクワク感は生まれません。
4)自分の夢を達成する手掛かりになる
やらなければならないとわかっていても一歩踏み出せないことが多いものです。
その理由は、「実現ストーリーを描けないこと」であることが多いです。
そんな時話し手の、失敗を繰り返しながらも成功する話は、
自分にこれから起こるであろうストーリーをイメージでき、
一歩踏み出す勇気を与えてくれます。
5)ストーリーは記憶しやすい
幼いころに読んだ小説の内容を、今でも覚えていることがあるでしょう。
ストーリーは頭に入りやすく、残りやすいのです。
そのタイミングにあったストーリーを持っていると、
相手に共感してもらうことができます。
そのためには、たくさんの話の引き出しを持っておくことが大切です。
そのためには、毎日日誌を書き、本を読んだら書評を書き遺し、
エピソードを体系化しておくとよいでしょう。
コーチングのトーチ 藤田信一さんのメールマガジンを
一部参考にしました。