木材価格が上昇する「ウッドショック」にどう対応するか 【がんばれ建設1774】
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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2021年5月31日
NO1774
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今日の一言
「国産材活用の仕組みを作る」
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「ウッドショック」という言葉が今、
住宅業界でさかんにやり取りされています。
住宅の柱や梁(はり)などに使う輸入木材の需給が
逼迫して価格が高騰し、大きな混乱が生じている状況を指します。
原因は米中の需要増です。
米国では住宅需要が旺盛です。
住宅着工件数はリーマン・ショック前の06年以来の
高水準となっています。
米国では木材価格が上昇し、21年2月時点でコロナ禍前の
約2.5倍となっています。
次に、早期にコロナを抑え込んだ中国。
経済回復への期待から木材需要が増しています。
中国は産業用丸太の世界最大の輸入国で、
18年には世界の産業用丸太の43%を輸入していました。
一方、日本では、人口減の影響などで
20年の新設住宅着工戸数は4年連続の減少となりました。
需要が鈍いとみた木材業界は、20年は木材の輸入量を絞りました。
翌21年になって需要の回復を見込み輸入量を
増やそうとしましたが、いったん減らした輸入量は
すぐに増やすことができなくなっていました。
日本は木材の自給率が37.8%(19年)で、
輸入材が約6割を占めます。
品薄の中で少しでも量を確保するためには、
値上げを受け入れるしかありません。
ウッドショックの影響は大きく、
住宅会社からは「木材が調達できない」「工期が遅れる」
「収益を圧迫する」と悲鳴があがっているのです。
柱は国産材に代替できても、梁は難しいようです。
梁を輸入材から国産材に変更すると必要な強度を満たすために
寸法が大きくなり、設計や見積もりに影響が出かねないからです。
そのため、今後は、より国産材の使用を増やしていく
必要があるでしょう。
木材価格の上昇分を単純に転嫁できたとすると、
建設費用は数十万円単位でアップする可能性があります。
今後、国産材の使用を増やすためには、地域ごとの林業や製材工場、
木材販売会社、住宅会社などが信頼関係を築くことが欠かせません。
住宅業界が安定して需要をつくり、林業界や木材業界がそれに応えて
安定供給するという、地産地消、共存共栄の
循環型ビジネスモデルです。
森林は二酸化炭素(CO2)を吸収し、森林からつくり出される木材は
燃やさない限り、炭素を貯蔵し続けます。
日本は50年のカーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)、
30年度までに13年度比で46%削減する目標を打ち出しています。
これに対して森林と木材の果たす役割は大きいです。
国産材には輸入材の単なる代替ではなく、
未来につながる価値を持たせたいものです。
また一時、建設業が林業に進出するということも進められました。
これを改めて実践し、他業種化するチャンスとみることが
できるかもしれません。
ウッドショックからしばらく目が離せないでしょう。
日経クロステック 2021年5月9日 小原隆著を
一部参考にしました。
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【編集後記】
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あすから緊急事態宣言が延長されることに
なりました。
抗原検査、フェイスシールドを活用して、
安全で安心な研修環境を引き続き進めます。
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