社長ブログ

転職時に原価データを持ち出すと刑事罰になる【がんばれ建設1784】

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がんばれ建設 
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2021年6月15日
NO1784

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今日の一言
「原価データは会社の財産」
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建築訴訟

転職市場が充実してきており、容易に転職できるようになりました。

しかし、その際、元の会社の原価や歩掛かりデータを持ち出してしまうと、

不正競争防止法違反となり、人生が狂ってしまう恐れがあります。

家電大手のE社から、競合社のJ社に転職した住宅リフォーム担当者が

E社の原価表などを無断で持ち出していることが発覚しました。

E社は刑事告訴、民事訴訟をして、情報を持ち出した担当者と、

転職先のJ社を追及しました。

不正競争防止法(以下、不競法)は、事業者が秘密として管理している情報で、

かつ公然と知られていないものを「営業秘密」だと定義しています。

この秘密情報を故意や重大な過失により、漏洩させた場合、刑事罰に問われます。

また、民法上の不法行為として損害賠償の対象ともなり、

情報を漏洩させた当人だけでなく、雇用主にも使用者責任が追及されます。

この担当者は、遠隔操作ソフトで、在職中、

そして、退職後も、E社のサーバーにアクセスし、

仕入れ原価や粗利情報を自身のパソコンにコピーしました。

そのデータを転職先のJ社に提供したのです。

元社員は刑事裁判の結果、懲役2年、執行猶予3年と

罰金100万円の有罪判決を受けました。

その後、民事裁判が行われ、営業秘密の使用差し止めと文書の廃棄、

1815万円の損害賠償を、J社と担当者にに連帯で命じました。

不競法は、営業秘密の不正利用について、最大で10年以下の懲役および

200万円以下の罰金という重い刑罰を科しています。

安易なデータの持ち出しは人生を狂わせかねせん。

不競法は「秘密情報」について、

(1)秘密として管理されている(秘密管理性)

(2)公然と知られていない(非公知性)

(3)事業などに有用である(有用性)

という3つの基準で違反の有無を判断するものと解釈されています。

転職先で個人的なスキルを発揮して業績に貢献すること自体は、

不競法違反とはなりません。

転職時に元の会社の情報を持ち出すことは、

おそらく、悪気なく行われていることでしょうが、これは犯罪です。

転職者本人はもとより、中途採用者を受け入れる人事担当者にも、

不競法に関する知識が不可欠になってきています。

転職後も、全従業員を対象とした教育を定期的に行う必要があります。

日経アーキテクチャー 秋野 卓生著

2021.06.10の記事を一部参考にしました。

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【編集後記】
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ハタ コンサルタント株式会社では毎月第2月曜日の朝に、

『月刊 致知』を用いた、勉強会を開催しています。

同じ記事を読んでも、人によって感じ方、

受取り方が違い、とても勉強になります。

昨日は「汝の足元を掘れ、そこに泉湧く」というテーマでした。

より一層、足元を掘り下げ建設技術を極める決意が固まりました。

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