社長ブログ

クソ親父と思ったこともあったけど、大好きだった【がんばれ建設1943】

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がんばれ建設 
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2022年3月14日
NO1943

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3月11日を迎えるたび、胸が痛みます。
さらに今年は、ウクライナのことがテレビで
放映され、命の大切さをより強く思います。

私は、工事現場で重大災害が起きた経験は
ありません。
しかし、現場宿舎でお一人の方が突然死され
たことがあります。

ある寒い冬の日、朝部屋に行くと、冷たくなっ
ておられました。
心臓病でした。

翌日ご家族が現場に来られつぶやかれたひと言
が忘れられません。

「工事現場はとても寒いのですね」

その時の外気温はマイナス10度。
しかし当時は火災を予防するため、宿舎の
部屋にて暖房器を使うことは禁止されていま
した。

一般の方からは信じられない生活環境だった
ことでしょう。

私が愛読している
『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕
事の教科書』に続編
『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生
き方の教科書』
が出版されました。

命の大切さを感じる文章をご紹介します。

「息子からの弔辞」
井坂 晃(ケミコート名誉会長)

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七月二十九日の十一時少し前に、葬式の会場で
ある九十九里町片貝の公民館に入った。

会場の大部屋は畳敷きで、棺の置かれた祭壇の
前には、すでに遺族と親戚の方々が座してい
た。

私は中川夫婦に黙礼をして後方に並んでいる折
りたたみ椅子に腰掛けた。

祭壇の中央では、故人の遺影がこちらを向いて
わずかに微笑んでいる。

ドキリとするほど二枚目で、その表情からは男
らしさが滲み出ていた。

会場には私のほかに高校生が五、六人、中学生
の制服を着た女の子が数人、そして私のような
弔問客が三十人くらい座していた。

広間に並べられた座布団の席はまばらに空いて
いた。

葬式は十一時ちょうどに始まった。

右側の廊下から入ってきた二人の導師が座す
と、鐘の音とともに読経が始まった。

後ろから見ると、二人ともごま塩頭を奇麗に
剃っていた。

読経の半ばで焼香のためのお盆が前列から順々
に廻されてきた。

私も型通り三回故人に向けて焼香し、盆を膝の
上に載せて合掌した。

しばらくして全員の焼香が終わると、進行係の
人がマイクでボソリと「弔辞」とつぶやいた。

名前は呼ばれなかったが、前列の中央に座って
いた高校生らしい男の子が立った。

すぐに故人の長男であることが分かった。

私には、彼の後ろ姿しか見えないが、手櫛でか
き上げたような黒い髪はばさついている。

高校の制服らしき白い半袖シャツと黒い学生ズ
ボンに身を包み、白いベルトを締めていた。

彼はマイクを手にすると故人の遺影に一歩近づ
いた。

「きのう……」。

言いかけて声を詰まらせ、気を取り直してポツ
リと語り始めた。

「きのうサッカーの試合があった。
見ていてくれたかなぁ」。

少し間をおいて、

「もちろん勝ったよ」。

二十八日が葬式であったら、彼は試合には出ら
れなかった。

司法解剖で日程が一日ずれたので出場できたの
である。

悲しみに耐えて、父に対するせめてもの供養だ
との思いが、「もちろん勝ったよ」
の言葉の中に込められていたように思えた。

「もう庭を掃除している姿も見られないんだ
ね、犬と散歩している姿も見られないんだ
ね」。

後ろ姿は毅然としていた。
淋しさや悲しみをそのまま父に語りかけてい
る。

「もうおいしい料理を作ってくれることも、
俺のベッドで眠り込んでいることも、もうない
んだね……」

あたかもそこにいる人に話すように

「今度は八月二十七日に試合があるから、上か
ら見ていてね」。

その場にいた弔問客は胸を詰まらせ、ハンカチ
で涙を拭ぬぐっていた。

「小さい時キャッチボールをしたね。
ノックで五本捕れたら五百円とか、
十本捕れたら千円とか言っていたね。
二十歳になったら

『一緒に酒を飲もう』って言ってたのに、
まだ三年半もある。

クソ親父と思ったこともあったけど、大好き
だった」

涙声になりながらも、ひと言、ひと言、ハッキ
リと父に語りかけていた。

「本当におつかれさま、ありがとう。
 俺がそっちに行くまで待っててね。
 さようなら」。

息子の弔辞は終わった。
父との再会を胸に、息子は逞しく生き抜くだろ
う。

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命の大切さを思わずにはいられません。

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【編集後記】
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毎月第2月曜日には、木鶏倶楽部と称して
「月刊致知」を用いた車内勉強会を開催して
います。

本文に書いたようなお話や、人間学について
の内容を全社員で学んでいます。

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