交渉時に、望ましい結果に導く3つのポイント【がんばれ建設2236】
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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2024年3月6日
NO2236
◆交渉時に、望ましい結果に導く3つのポイント
建設技術者にとって、交渉力は重要なスキルです。
協力会社、顧客、近隣住民と毎日のように交渉を行いながら、
工事を進めていく必要があります。
一方、交渉が苦手という人もいるでしょう。
強い交渉をし過ぎても、逆に弱すぎてもうまくいきません。
今回は交渉術3つのポイントをご紹介します。
◆真ん中が一番人気
おすしを食べに行ったとき、
店員さんからこう言われたら
あなたはどのコースを選びますか。
初めて行く店で、各コースの内容は
そこまで詳しく分からないことを前提としましょう。
「松は5000円、竹は4000円、梅は3000円です。
いずれのコースになさいますか?」
このとき、竹のコースが最もよく選ばれることが
多くの学術研究で分かっています。
もしも、あなたが発注者と
工法の協議をしているとしましょう。
工費がネックになっている場合、
当方がもっとも推したい工法をB工法とします。
B工法に加えて、
A工法(もっとも工費が高い)、
C工法(もっとも工費が安い)
の3つを並べると、
B工法を選択される確率が高いのです。
◆都合のよい選択肢を設定する
選択範囲が広くなればなるほど、
聞き手は選びにくくなったり、
話し手が意図するものとまったく違ったものを
選択したりする可能性があります。
たとえば、梅酒専門をうたう居酒屋にて、
次のように言われたとしましょう。
「当店は梅酒の専門店です。
梅酒だけでも50種類あります。どれになさいますか?」
すると選びきれず、
「とりあえずビールで」と言うかもしれません。
「梅酒は全部で50種類ありますが、
お勧めの梅酒は、この3種類です」
と言われるとこのいずれかを選ぶでしょう。
顧客との設計変更の打ち合わせ時に
「現在の状況では工期順守が難しいです」
と伝えると
「それでは、今回は〇〇の箇所の施工は
来年度の施工としましょう」
と言われ、施工量を減らされてしまうかもしれません。
「現在の状況では工期順守が難しいです。
現在のA工法を、B工法もしくはC工法に
変更することで工期を守ることができます」
こうすることで、自分が持っていきたい方向に
聞き手の決断や判断を促すことが可能になります。
大切なことは、こちらに都合のよい「選択肢」を作ることです。
◆「おすすめです」と伝える
人が自信を持って選べる選択肢の数は
4~6個まで、といわれています。
これは、有名な「ジャムの法則」と呼ばれるもので、
次のような実験により確認されました(Iyengar & Lepper, 2000)。
あるスーパーマーケットに買い物に来た
お客さんを対象に、ジャムの試食販売を行いました。
試食販売コーナーを2グループに分け、
それぞれで取りそろえるジャムの種類の数を
24種類と6種類にしました。
足を止めて試食をした人数と
購入率を計測した結果は、
試食をした人数は
「24種類のジャムが置いてあるグループ」のほうが多く、
購入率は
「6種類のジャムを置いてあるグループ」のほうが
10倍となったのです。
この結果から、
「人は選択肢が多すぎると
1つのものを選ぶのが難しくなり、
選択すること自体をやめることもある」
という心理作用が発見されました。
このように、人が自信を持って選べるのは
4~6個と考えられますが、
選択肢の数は3個程度にすることが望ましいでしょう。
選択肢を3つあげ、そのうえで
「最後の○○工法が一番おすすめです」
と伝えることで、
交渉にて望ましい結果に導きやすくなります。
『「よい説明」には型がある。』犬塚壮志著を
一部参考にしました。
【編集後記】
交渉力を高めたいのですが、お勧めの本を教えてください。
とよく聞かれます。
読みやすく参考になる本の一つに
「交渉力 結果が変わる伝え方、考え方」
(橋下徹著)があります。
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