「今どきの若もの」に期待する理由とは【がんばれ建設2245】
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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2024年3月29日
NO2245
◆「今どきの若もの」に期待する理由とは
桐朋高等学校(東京都国立市)、第78期卒業生
土田淳真さんの答辞がすばらしいと評判です。
X(Twitter)を中心に、
「とんでもない18歳だわ……」
「す、すごいものを見た」
「あまりにも素晴らしい文章で感動」
「こういう言葉が紡ぎ出せることがなんと素敵なことか。豊かな感性」
「溢れる知性とユーモア、仲間への想いを
美しい文章へとまとめ上げる文才に感動しました」
「答辞で泣くなんて……」
「ここ数年の間に読んできた文章で
一番胸が熱くなる素晴らしい挨拶だと思います」
など、感動した人の声が続々と届いています。
以下、桐朋高等学校公式Webサイト、
土田さんのnoteにも掲載されている
答辞の一部を紹介します。
卒業生答辞
ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきは、
巡り巡ってアメリカ・テキサス州の
ハリケーンの原因となりうるでしょうか。
1972年、アメリカの気象学者
エドワード・ローレンツは
正確な気象予報の困難さをこのように例え、
初期条件の僅かな違いが観測結果に
大きな影響を与えることを示しました。
ローレンツのこの問いはやがて
「バタフライエフェクト」として大衆文化にも受容され
「偶然に導かれた数奇な因果関係」を
意味する言葉として用いられています。
本日体育館の外に吹いている朗らかで少し物寂しい風も、
ともすると3年前・6年前
初めてこの学校に足を踏みいれた時の
肌寒く不安な風の名残なのかもしれません。
自らの歩みを振り返り、
新たな日々を予感させる春風が吹くこの佳き日に、
桐朋高等学校78期、293名の卒業式を挙行くださること、
卒業生を代表し感謝申し上げます。
そして六年間僕達に知的好奇心の入り口を
開け続けてくださった先生方、
また何より18年間僕達の成長を見守ってくださった
保護者の皆様に、重ねて御礼申し上げます。
振り返ると78期は常に風と共に歩んできました。
2019年4月1日、「平成」に替わる新元号「令和」の発表。
出典の万葉集に曰く、「初春の令月にして、気淑く風和らぎ…」
しかし、令和最初に吹いた「風」は
通常の「風邪」を遥かに凌駕した未知の感染症でした。
「期末試験は中止です」
最後の登校日、担任の先生が複雑な表情でそう告げた時、
歓喜の声を上げた僕たちのそばで
一人下を向いていた友人が流した悔し涙が、
コロナの残酷さを如実に物語っていました。
憎たらしいほどの青空の下で、
僕たちの中学修学旅行は、部活の試合は、
そして何よりマスクの下に見るはずだった皆の笑顔は、
全て「不要不急」の4文字に淘汰されていき、
その鬱憤を誰のせいにもできない葛藤の毎日が続きました。
(中略)
CreationとImaginationが
同じ「そうぞう」という音なのは
日本語の奇跡としか言いようがありませんが、
僕達にとってこの両者はもはや同一でした。
(中略)
「そうぞう」の一環として、生徒による学年通信
「馬鹿たれ」を想起した方も多いことでしょう。
学年目標を冠した本家「大鵬たれ」の
パロディとして作られたこの「馬鹿たれ」、
後付けではありますが、
かのスティーブ・ジョブズの演説も由来の1つだそうです。
“stay hungry, stay foolish”
僕達はこの演説を高2英語総合の授業で
学ぶことになります。
偶然、ちょうどそのころ、
この演説を扱ったある番組がNHKで放送されました。
1人の細やかな営みの連鎖が、世界を動かす、
と語られるこのシリーズ番組は、
また偶然にも僕たちが高1の世界史で学んだ
「映像の世紀」の続編で、その名も
「映像の世紀 バタフライエフェクト」
2022年11月7日の放送回では、
「世界を変えた愚か者」としてご存知ジョブズと、
彼に影響を与えた思想家バックミンスター・フラーが
紹介されていました。
フラーは人類の持続可能な発展についての先駆的概念
「宇宙船地球号」の提唱で知られています。
バタフライエフェクトと「宇宙船地球号」はともに、
いかなる矮小な存在も雄大な世界の要素であることから
逃れられないことを示しました。
1人の細やかな営みの連鎖が、世界を動かす。
情報化社会と呼ばれる今日、それはいよいよ
僕ら若者のレベルですら現実となりつつあります。
(中略)
この“stay hungry, stay foolish”は
“be foolish be hungry”ではありません。
僕達はいつまでfoolish、馬鹿でいられるのでしょうか。
無知を馬鹿というならば、僕は永遠に馬鹿で構わない。
無知とは、また新たな何かを学べるということであり、
学びとはすなわちその奥に未知が存在することへの
知覚なのですから。
高1の時、担任の先生がこう言っていたのを思い出します。
「学ぶ意味なんて学びきるまで分からない、
でも意味がわからないから学ばないってのは、
あまりに安直だよね」
学びには王道もなければ聖域もない。
永久の学びを志向する者ならば、他者に対し
冷笑的、厭世的な態度で臨むことは許されません。
(中略)
僕達はそう遠くない未来、風を受ける側から
風をおこす側になるでしょう。
最後にこんな話を紹介させてください。
ある日、生徒会の意見箱に
右翼や左翼といった言葉を使って特定の政治思想を
中傷するものが投書されていたことがありました。
どう返信しようかと悩み、そのまま机に置いて帰った次の日、
誰の字とは分かりませんが、しかしはっきりと
次のようなことが書かれていました。
「片方の翼だけでは、鳥は空を飛べません」
僕達が大鵬ならば、両方の翼を
自在に使いこなせる大鵬でありたい。
大鵬は古代中国における季節風の象徴だという説があります。
中国大陸の南、太平洋を吹き抜ける季節風は、
古来より貿易船の帆を押し、東西文明の融合、
新たな文化の隆興を育んできました。
1匹の蝶でさえハリケーンを引き起こすなら、
293羽の大鵬は何をもたらすのでしょうか。
僕達がおこす風もまた、曖昧な他者を融合させ
誰かの「そうぞう」の一助となると信じています。
2024年3月2日 78期卒業生代表
土田淳真
「今どきの若もの」などとよく言いますが、
この文章を読むと知見とユーモアにあふれた内容に、
さすが「今どきの若もの」と言いたくなります。
来週月曜日、4月1日に新たに社会人として、
建設業界に一歩を踏み出す若ものに、大いに期待します。
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【編集後記】
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来週月曜日から、いよいよ新年度です。
新たな気持ちでメルマガ執筆します。
引き続きよろしくお願いします。
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