2018-12-26 建設業の心温まる物語/日刊建設工業新聞掲載記事を引用

初めてトンネル現場に配属になったときのことです。何も分からない状況で、日々勉強をしながら工事を進めていました。私はもともと人とのつきあい方が上手ではないため、人に頼れず仕事を一人で抱えこんでしまっていました。そのため、やらなければならないことが多すぎて頭を抱えていました。
その時、声をかけてくれたのが建設共同企業体に他会社から出向されていたAさんでした。
「何をそんなに険しい顔をしているんだ。分からないことがあるなら、いつでもいいから俺に聞いてくれ」と言っていただき、かなり気持ちが楽になりました。
その日以降、Aさんと現場を進めることが多くなり、分からないことがあると、教えていただきました。私が「いつも質問ばかりで、すみません」と言うと「トンネルの経験者が少なくなっている中で、お前みたいに興味を持って質問されると俺が楽しい。教え甲斐がある」と言ってくださいました。
迷惑をかけているにもかかわらず「教え甲斐」があると言っていただけて、とてもうれしく思いました。それだけではなく、Aさんからは仕事に対する考え方や、人を育てる方法を学ぶことができたような気がします。
Aさんとは、所属会社は違いますが、今でも連絡を取り合っています。そして今でも相談に乗ってもらうこともあります。いつかはAさんのような技術者になりたいと思っています。