2018-9-27 建設業の心温まる物語/日刊建設工業新聞掲載記事を引用

私はこれまで、父の背中を見続けてきました。
私が物心ついたときから、父は朝早く出勤して、夜遅く帰ってきました。家に帰ってくると作業着がいつも汚れていました。そして、どんなに前の日の帰宅が遅くても次の日、同じ時間に出勤をしていました。その作業着の後ろ姿がとてもかっこよかったのです。
ある日をさかいに、作業着の汚れが少なくなってきていることに気が付きました。さらに、家に帰ってきてから悩んでいるようにも見え、思い切って父に聞いてみました。
「何か仕事の悩みでもあるの?」と。
すると父は、
「現場から離れて、パソコンを使う仕事をするようになったんだが、使い方がよく分からん」という答えでした。
現場が大好きな父にとって、40歳を過ぎてからパソコンの操作方法を一から覚えていくのは、大変だったのでしょう。
今、私は、父と同じ職場で働いています。父は、職場の同僚から現場の質問をされても、すぐに返事がスラスラとできて、工事運営に関して適切なアドバイスをします。もちろんパソコンはもうすっかり使いこなしています。そんな姿を毎日見ていると、私が到達すべき目標が、父であることに感謝しかありません。
父の背中を追って今日も仕事をがんばっています。