2019-1-28 建設業の心温まる物語/日刊建設工業新聞掲載記事を引用

自動車道の新設工事の区画線工事を数十年前に行った時の話です。
工事現場が会社から離れていたため、現場の近くに家を借りて泊まり込みで仕事をしました。秋から冬にかけての工事で、寒さが厳しく、冷たい風が吹く中、工事を進めました。苦労のかいあって、春には完成して無事開通になりました。
その直後に、姉から電話がありました。驚いて電話に出ると、姉は「私の友人があなたの工事をした道を車で通ったそうなの。そして友人はとてもきれいに線が引いてあって新しい道になって走りやすかったと言っていたわ。私は「あの道は弟が線を描いた工事なのよ」と答えたの。すると「弟さんはすごい仕事してるね」って言ってくれたのよ」と、うれしそうに話してくれました。姉はとても気分が良かったと言ってくれました。
その後、数年たって今度は私の子供が、一緒にその道を通っているときに
「この道、お父さんが工事したところだよね」と聞いてきました。私が「そうだよ」と答えると、「きれいな道だね。こんなにきれいな道を造るなんて、お父さんすごいね」と感心していました。
姉や子どもが私の描いた道路を誇りに思ってくれ、当時の苦労が吹き飛んだ思いです。自分が従事した仕事を褒めてくれる人がいることは、とても幸せなことだと思います。
区画線工事は道路に化粧を行う仕事のような気がします。
今後もみんなに「きれいな道だね」と言ってもらえるように、仕事を続けていきたいと思った出来事でした。