2019-1-28 建設業の心温まる物語/日刊建設工業新聞掲載記事を引用

三重県にて6年ほど前に食品工場の建設工事を担当した時のことです。
当初の計画工期が2ヶ月とあまりにも短く、とても工期内の完成は無理と思えるような工事でした。関係者全員が非現実的だと思っている、いわゆる突貫工事でした。
着手前から全協力会社も誰もが「無理だ」と言います。施工方法を検討する会議の場でも、関係者のやる気が上がらず、なかなか前向きな意見が出ません。そんな暗い雰囲気で着工の日を迎えることとなりました。
私はなんとかその雰囲気を変えたいと思い、着手前に関係者全員を集め決起会を開催しました。しかしせっかく開催した決起大会でもやはり暗い雰囲気でした。そこで私は大会の最後に意を決して
「この現場では『無理』『できない』と言う言葉を禁止とします。『できる!』『やれる!』『必ずやる!』を合言葉にして工事を進めます」と宣言しました。
そして竣工前までの工程説明を実施し、意見交換を行いました。私の熱意が伝わったのか、協力会社の皆からも前向きな意見が出始め、最後には全員が「無理」と言う言葉を発することはなくなり、「どうすれば工期を守ることができるか」という具体的な意見が出始めました。
短期決戦の工事でしたが、関係者が一丸となって工事を進めることができ、ついに2ヶ月の工期を守り、無事お客様にお渡しすることが出来ました。
「やりきった」という達成感を今まで以上に感じることができ、今でも記憶に残っている現場です。「無理なことは絶対にない」ということを強く感じました。