2019-3-25 建設業の心温まる物語/日刊建設工業新聞掲載記事を引用

愛知県内で橋梁の補修・補強を行う工事を行っていたときのことです。
ある台風の前日、施主から「お宅の現場付近で子猫の鳴き声がするので確認してきてほしい」との依頼がありました。
私と現場代理人Aくんが現場に向かうと小学生と中学生が側溝、立溝あたりをのぞき込んでいました。「立溝の奥から猫の鳴き声が聞こえる」と。
グレーチングから立溝をのぞき込んでも何も見えません。ただ「ミャーミャー」という、か細い子猫の鳴き声が聞こえるだけでした。
私たちはいても立ってもいられず、付近を調べたところ、近くにその立溝につながる大きな側溝を見つけました。思い切って中に入り、子猫を助けに行くことにしました。側溝の中は、人がはいつくばらないと通ることのできないほどの高さでした。現場代理人のAくんが率先して中に入りました。するとしばらくして
「見つけました!!2匹います!!」とAくんの元気な声。
Aくんが立溝の中から子猫2匹を助けあげると集まっていた人たちから「わぁ!!」という歓声が沸き起こりました。
施主にこのことを報告すると「近くの駐車場にでも置いておいて」と言われました。しかし、手のひらに乗るくらいの小さな猫をそのままにしておけず、現場事務所に連れ帰りました。
その猫は、今では自宅で「ミャーミャー」と鳴きながら私の帰りを待っていてくれています。