2019-4-22 建設業の心温まる物語/日刊建設工業新聞掲載記事を引用

昨年7月末に竣工した現場のことです。会社が始まって以来の大型物件を受注し、現場代理人として現場を担当しました。工事開始当初は順調に進んでいました。
ところが、ある企業が鉄骨強度を偽装したとの問題が発覚し、大きく報道されました。そのことが影響して、鉄骨の製作、現場への搬入が約2か月遅れてしまいました。工程をやりくりし、見直してもどうしても1.5か月工期が足りません。お客様に工期が遅れる事情を説明しましたが、操業開始日が決まっているので工期遅延はダメだと言われました。結局、当初の契約工期で工事を進めることになりました。
会社で緊急会議を開き対策を検討し、また会社一丸となって工事を完成させるため決起集会を開きました。毎日のように夜遅くまで残業、そして休日出勤ともなりました。しかし、手伝ってくれた社員は、自分の現場を担当しながらであるにもかかわらず、一言の文句も言わず、がんばってくれました。そのおかげもあり、無事に契約工期を守って完了することができました。
引き渡しが終わった懇親会の席で、共に苦労し工事を仕上げてくれた協力業者、社員の前で人目もはばからず、号泣してしまいました。今まで23年仕事をしてきてこの様な経験をしたのは初めてでした。手伝ってくれたみんなへの感謝の言葉は、一言では表せませんが、素直に「ありがとうと」言えた自分がいました。