2019-4-22 建設業の心温まる物語/日刊建設工業新聞掲載記事を引用

私はPCコンクリートの専業者として、入社後10年、全国で橋梁工事に従事してきました。鉄道橋、道路端・ダムの天端橋など担当した橋梁工事のほとんどは山中の奥深い現場でした。
これらの現場では、近隣住民の方々との施工中の交流はありますが、竣工後に橋梁が供用され、実際に使用される様子を見ることができませんでした。そのため私は、作り上げる橋の出来映えのみに満足していたように思います。
しかしあるとき、供用開始後も工事現場に居続けることができ、施工していた高速道路の開通の様子を見る機会がありました。
その現場では近隣住民や工事に関係する方々が招かれた開通式、さらに関係者が道路を歩いて渡るハイウェイウォーキングというイベントが開催されました。地元の方々には、この時に初めて、新しい橋梁をお披露目することになりました。
地元の方々から「開通おめでとう!」「これでアクセスがよくなる」「早く移動することができ、助かるよ」という言葉をいただきました。橋を使う方々の声を直接聴くのは、この時が初めてでした。
これまで、自分たちの造り上げた「姿」に対して感慨深い思いがありましたが、それに加えて、人の役に立っているという実感と誇りを思い出されてくれた瞬間でした。
建設業は、人や社会の役に立っている素晴らしい仕事であると改めて思いました。