建設業で本当にあった心温まる物語

東西建築サービス株式会社(大阪府)・大谷 光平/~何度も足を運んでよかった~

2016-08-29 建設業の心温まる物語/日刊建設工業新聞掲載記事を引用

 入社して4年目の頃、はじめて居宅の改修工事を行った時のことです。
場所は閑静な住宅街で、居宅の3方向は全て近隣住宅に囲われていました。お施主様のAさんは気さくな方で、近隣挨拶も一緒に回って下さり、工事担当者としては大変助かりました。

 工事に着手して間もなく、近隣住民Bさんより「工事の音がうるさい」とクレームの一報が入りました。原因は騒音でした。内部の小規模改修だからといって、防音対策を講じなかった私の責任でした。私はすぐさまBさんに謝りに行き、今後の対応を説明しましたが、まったく聞き入れていただけません。このことをAさんに報告し、Aさんと一緒に再度、Bさん宅へ謝りに行きました。しかし、結果は同じで話さえまともに聞いていただけません。Aさんは気にせず工事を行ってくださいと私に言って下さいました。しかし、私は工事が終ってからも、AさんはBさんとつきあいが続くので、揉めたままで工事を行うわけにはいかないと思い工事を中止しました。翌日もBさん宅へ謝罪と今後の説明にお伺いしました。それでも「工事再開は許さない」とのこと。

 その後、何度も何度も足を運び説明を繰り返しました。そんなある日「あなたの熱意が伝わりました。これからは騒音のないようにお願いしますよ」とBさん。ようやく工事再開の目途がたちました。後日談ですが、Bさんは同じ建設業経験者でよく騒音でのクレーム受けたそうです。クレーム対応方法など教えて下さいました。また、工事終盤にはお茶菓子などもいただきました。

 あきらめずに何度も足を運ぶ大切さを学んだ工事でした。