建設業で本当にあった心温まる物語

本建設工業株式会社(石川県)・川崎 ともみ/~「がんばれ!」と応援してくれるおばあちゃん~

2016-11-28 建設業の心温まる物語/日刊建設工業新聞掲載記事を引用

 私が初めて担当した現場でのお話です。

 一人で下水道の工事を担当すること、地元の方々と交渉しながら工事を進めなければならないこと、何もかもが初めてで毎日不安でいっぱいでした。

 その日は、公共桝の設置位置を確認するため、地元の方々のお宅を訪問していました。あるお宅で、90歳くらいのご夫婦と出会いました。その方は「女性なのに大変ね、ご苦労様」と声をかけてくれました。工事によって地元の方々に騒音や道路規制で迷惑をかけてしまうため、心苦しく思っていたので、そのおばあちゃんの一言が本当にうれしく感じました。

 その日以降、おばあちゃんは私の顔を見ると大きな声で「あら川崎さん」と私の名前を呼んでくれ、手を振りながら「がんばれー!!」と応援してくれるようになりました。思い通りにならなかったり、工事で失敗して落ちこんでいた私をそのおばあちゃんはいつも元気づけてくれました。

 ある雪の日、バス停に向かって歩くおばあちゃんに気づき、転ばないようにと手をさしのべました。おばあちゃんは私の手を握ってくださり、二人で手をつないで歩いていると「あなたに工事をしてもらってよかった、ありがとうね」と言ってくれました。

 私は周りの人達に助けられていること、現場って仕事を完成させる喜びだけじゃないことを知り、「現場に出てよかった、また現場に出たい!!」そう思うことができました。

 そのおばあちゃんは今も元気です。