建設業で本当にあった心温まる物語

信和建設株式会社 (愛知県)・清水 克彦/~タバコの吸い殻拾いから始まった住民との出会い~

2017-3-27 建設業の心温まる物語/日刊建設工業新聞掲載記事を引用

 東海豪雨の災害復旧工事を担当した時の話です。瀬戸市街地、尾張瀬戸駅前の国道155号線が通る護岸が崩れ、国道155号の通行止めにして工事を行いました。商店への迂回路の確保、バス路線の変更、着工に向けての準備はたいへんでした。

 それ以上にたいへんだったのは、地元住民のSさんの対応でした。Sさんの自宅兼店舗前にバス路線の迂回に伴い、臨時バス停が設置されることになりました。Sさんは「バス停ができるとバス待ちのお客さんがタバコのポイ捨てをするから困る」の理由で工事に反対されました。私は「タバコの吸い殻拾いを毎朝昼夕やるから工事をやらせてください」と頼み、なんとか工事をやらせてもらえることとなりました。災害復旧工事で一日も早く復旧しなければならないため、休みなしで、雨の日さえも工事を進めました。当然私はタバコの吸い殻拾いを毎日やりました。

 工期の3ヵ月間ならとできると思い、拾い始めた吸い殻でした。ところが、1ヵ月が過ぎたころ、毎日休みなしで吸い殻拾いをしている私の姿を見て、なんとSさんが「私も手伝うわ」といって手伝ってくれるようになったのです。とても驚き、そしてうれしく思いました。地域の人たちのことを念じて工事をし続けると心が通じるものだな、と思いました。

 その後もSさんとおつき合いが続いています。Sさんが住む町内で当社が工事を行うと、当社のことをPRしていただけるまでになりました。