建設業で本当にあった心温まる物語

株式会社橋本組(静岡県)・橋本 泰志/~耐震補強工事をした保育園との絆~

2017-8-28 建設業の心温まる物語/日刊建設工業新聞掲載記事を引用

 

 静岡県焼津市大富地内にある保育園の耐震補強工事を担当した時の話です。

 その現場では現場代理人Aさんと担当技術者であった私の2名体制で現場管理に従事しておりましたが、施工開始から半年が過ぎた時点でAさんが心臓疾患となり10日間の入院になってしまいました。園児や先生方とは日々のコミュニケーションからすっかり仲の良い関係だったため、園児からAさんのお見舞いに行きたいと声がかかりました。一人で現場管理をしていた私は思わぬ申し入れにうれしくて、思わず目から涙がこぼれました。

 園児や先生方がおしかけると病院がパニックになるので、代理で私が丹精込めて作られた千羽鶴、手紙、色紙を持参してお見舞いに行きました。Aさんはたいへん感動し「寝てられない!」と言い出し、数日早く退院されました。

 無理はさせられませんでしたが、私とともにその後の施工管理も順調に行うことができ、無事引き渡しをすることができました。引き渡し後もその保育園からは行事のたびに声をかけていただき、会社の了解を得て可能な範囲で参加しています。卒園式では多くの感動をもらいました。特に園長先生の結婚式では園のメンバーとして歌の披露をしました。

 常に「感謝」の言葉を送ってくださる園のスタッフの多くの方々と、その後も良好な仲間意識の強い絆が育まれています。施工者冥利に尽きる現場でした。