建設業で本当にあった心温まる物語

有限会社西川塗装店(千葉県)・髙橋 和宏/~ペンキ屋さんの出番です~

2017-10-30 建設業の心温まる物語/日刊建設工業新聞掲載記事を引用

 動物園にいる動物たちは建物の中や、屋外の檻の中に放たれています。この建物の内部や、檻、手すりには外からきれいに見えるように、ペンキが塗られています。ところが以前使われていたペンキには、体に良くない鉛が含まれていました。そんなことを知らない動物のこどもたちは檻や手すりをなめたり噛んだりして遊びます。そのうち、動物の体の中に鉛が入り込んでしまい中毒になって死んでしまう事故が数多く起きていました。とても悲しいことです。

 そこで私たちペンキ屋さんは、動物たちが真近にいる建物や檻の中に入り、まずはそこに塗ってある鉛が含まれたペンキを残らずはがします。その後、動物が食べても問題のないペンキに塗り替えるのです。動物たちは「人間は何をやっているんだろう」と思っていることでしょうね。

 動物たちが安全に過ごし、そして動物園に遊びに来る人たちが楽しく過ごすことができるようにするために、見えないところでこんな仕事をしているのです。

 塗装という仕事は、見た目をきれいにするだけでなく、鋼材が錆びないようにする役割もあります。さらにはこのように、動物や人の命を守ることもしているのです。工事が終わってしまうと、工事に従事した人々はいなくなってしまいますが、その熱い思いはしっかりと建物の中に残っています。