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①「新入社員から5年間の育て方」


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新入社員養成の秘訣 (1)新入社員から5年間の育て方

 新入社員を採用して、どのように育てればいいかと悩んでいる建設会社の方が多いことでしょう。ここでは、新入社員を育成し、永く働いてもらえるようにするための方法を解説します。

 まず、今どきの若者の気質について見ていきましょう。

①今どきの若者気質

 今どきの若者に対して意識調査を行った結果があります。

 上位3つは、「協調性」「責任感」「忍耐力」となっており、これらに自信があると答えています。一方で、「積極性」「想像力」「社交性」といった点に自信がないという結果が出ていることから、チームプレーに必要な能力には自信があるが、消極的な姿勢の若者が多いことが見受けられます。

 また、会社や職場に望むこととして「人間関係の良さ」と答えた若者が多く、地位が上がるなど個人の昇格については、優先順位が低いようです。

 この“会社に何を望むか”という点について、若者の意見の変化を見ていくと、自分の能力を発揮・向上することができるという項目を選ぶ若者の割合が減っています。向上心の低下は大きな問題であるといえるでしょう。

 「残業がない」「休日が増える」ことを会社に望む人の割合は、2012年度から上昇傾向が続いています。プライベートと仕事の両立を重視する“自分ファースト”の思考が強まっているのです。

 一方、「給料が増える」ことを望む人は横ばい傾向にあります。以前は、「残業がない」「休日が増える」ことよりも、「給料が増える」ことに重きを置いている人が多くいました。しかし、2016年以降は残業や休日の待遇の良さを望む人が増えてきているのです。

 さらに、「私生活に干渉されない」ことを重視する人の割合も増えています。職場に良好な人間関係を求める一方、その関係を休日やプライベートな時間にまで持ち込むことには否定的なようです。

 上司からの指導方法については、スパルタ教育を嫌い、優しく丁寧に指導してくれる上司や先輩を望む傾向があります。

 “あなたは一つの会社に最低どれくらい勤めるべきだと思いますか”という質問に対しては、2〜3年と答えた人が33%、4〜5年と答えた人が21%、6年以上と答えた人が14%でした。このことから、短期間で転職してもいいと考える若者は、確実に増えていることが読み取れます。

②人材育成の基本

 それでは、このような若者をどのように育成していけばいいのでしょうか。

 “育成なくして指導なし、人が育つ土壌をつくる”ということばがあります。

 “育成なくして指導なし”とはどういう意味か。例えば、ここにコップがあることを想定してください。コップに水を入れること、これは教育することに当てはめて考えることができます。つまり、コップにうまく水を入れれば、その人の知識が増え、成長したといえるわけです。しかし、コップが下を向いている人がいた場合はどうでしょうか。いくら水を入れようとしても、水はコップの中に入りません。

 このコップを上に向けることを「育成」といいます。育成とは、やる気を高め、熱意を高めること。そして、コップに水を入れることを「指導」といいます。指導とは、知識や経験を身に付けさせることです。つまり、まず新入社員に学ぶ意欲、働く意欲を湧かせ、その後知識や経験を身に付けさせる指導をすることが大切であるということです。

 では、“人が育つ土壌をつくる”とは、どういうことでしょうか。

 人を育てるよりも、人が育つ組織をつくる方がいいという考え方です。例えば、孵化器に卵を入れると、ある一定の温度と湿度が保たれ、自然にヒヨコになります。これは、“人が育つ”環境にあったといえるでしょう。これに対して、“人を育てる”とは、卵の殻を破り、早くヒヨコになれと促進することといえます。

 人が育つ組織とは、近くにいる先輩や上司が模範的な態度を示すことです。例えば、短い時間を使って勉強している姿を新入社員に見せる。常に机の上の整理整頓をしている。車を洗車していつも使いやすい状態にしている。そういう状態を新入社員に見せ、それを新入社員がまねする。これこそ、人が育つ組織であるといえます。

③育成、指導、権限委譲、模範的態度

 人材育成には4つの要素があります。育成、指導、権限委譲、模範的態度です。

 育成とは、先に述べたように新入社員のやる気や熱意を高めることです。そのためには、日常的に褒め、叱り、そして新入社員の話を聞いてあげることが大切でしょう。

 つづいて、指導に必要なことは教育計画です。どの段階で、何をどのような方法で教育するのか、この教育計画に沿って現場や本社で指導することが大切です。

 権限委譲とは、今までやっていなかった仕事を新入社員に任せることです。しかし、権限は委譲しますが、責任は委譲しません。つまり、仕事で失敗したとしても、それは任せた上司や先輩の責任だということです。“任せて任さず”ともいいます。

 そして、模範的態度です。新入社員と共にいる先輩や上司は、模範的な態度で行動する必要があります。言葉遣いや行動が新入社員にとって模範となっているかどうかを、絶えず心掛ける必要があるのです。上司や先輩は、決して何気ない行動や言動をしてはいけません。

④OJTとOFF-JTのメリット、デメリット

 指導方法には、OJTとOFF-JTという2つの方法があります。OJTとは、On-The-Job Trainingの略で職場内教育のこと。OFF-JTとは、Off-The-Job Trainingの略で職場外教育のことを指します。

 OJTのメリットは、社員の能力に合わせた個別指導ができること、教育内容を実務に落とし込みやすいこと、繰り返し教育を実施できることです。一方、OJTのデメリットは、教育担当上司の指導力が不足していること、教育の幅が狭くなりやすいこと、時間的な制約から学習に専念できない場合が多いことです。

 つづいてOFF-JTのメリットは、講師がその分野の専門家であること、広い範囲の体系的な教育を受けられること、受講者が学習に専念できること。OFF-JTのデメリットは、受講者の能力と教育内容が完全に一致しないこと、実務に落とし込むのが難しいこと、繰り返しの教育が難しいことです。

 つまり、OJTもOFF-JTもそれぞれメリット・デメリットがあるため、この双方を組み合わせて指導する必要があるわけです。

⑤5年間で身に付ける知識と経験を明確にする

 指導には、教育計画が欠かせないと書きました。建設会社に入社して5年間で身に付けるべき必要能力、そしてそれをどのような形で指導するのか、これを「必要能力一覧表」を活用してまとめることが欠かせません。

 新入社員と共に働く上司や先輩、そして本社の部長や課長は、必要能力一覧表に沿って、教育計画に基づいた教育を実施します。それにより、新入社員は着実に成長することができるのです。

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